コラム「癒し」はマイナスの状態をゼロにリセットしてくれるだけ

私は、「森林浴ハイクツアー」というものを一つのビジネスとして展開しています。

森林浴と聞くと、一般の人であれば「癒し」というイメージを浮かべると思います。

確かに森に一歩足を踏み入れると、快適な刺激が五感いっぱいに飛び込んできます。

やわらかな光に包まれ、ほのかな森の匂いが漂う。そして鳥のさえずりや沢のせせらぎ、葉が揺れる音に耳を傾けると何とも言えない心地良さを感じる。そう、心身をリラックスさせてくれるのです。

そんな森林浴の効果については、ストレスホルモンの減少といったリラクゼーション効果や免疫機能の改善など予防医学的な効果があることが科学的に実証され。「森林セラピー」といった言葉も生まれています。

もともと森林浴という言葉も林野庁長官がつくった造語で、日光浴や海水浴があるのなら森の中でフィトンチッドを浴びる行為を森林浴と呼んでもいいのではないかというところから生まれています。

森の中の小道
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ストレス社会がもたらした「癒し」

昨今の社会はストレス社会といわれています。少子高齢化による慢性的な人材不足、業務のIT化や成果主義の導入などなど…。それにより、労働者の心の健康問題は深刻化しており、大きな社会問題となっています。そのせいか、癒されたいと願う人が増え、そして癒しをうたう商品やサービスがぞくぞくと販売されています。多くの人は、そういった謳い文句に惹かれ、商品やサービスを購入し、癒されることで英気を養いまた日常生活へと戻るということを繰り返しています。

もしかしたら、旅行に行ったりキャンプしに行ったり、山に登りに行ったりすることもある意味「癒し」を求めているのかもしれません。

非日常的な体験や経験は、ある意味癒されます。普段の時間軸とは違うゆっくりとした時の流れに浸ることは、とっても新鮮です。

でも多くの人は気がついているはずです。どれだけ癒されてもまたすぐに元に戻ってしまうと。

何回癒されてもすぐまたマイナスの状態に戻ると。

そう、「癒し」だけでは人のココロも体もなぜか元気になりません。

「癒し」はマイナスの状態をゼロにリセットしてくれますが、それも一時的です。いつものストレスにさらされる生活に戻ればすぐまたマイナスの状態になります。

癒しはリセットしてくれるだけなのです。

ウユニ塩湖のように広がる景色

必要なのは未来の自分を見いだし、そこに向かって歩き出す決意

私が行っている「森林浴ハイクツアー」も、一見すれば「癒し」をうたうサービスに聞こえます。

しかし、「癒し」だけを提供しているサービスではありません。本来の目的は、自分と向き合い、心の内にあるものを目覚めさせ、未来の自分を見いだしてもらうことです。

未来の自分を見いだせれば、そこに向かっていく決意の光が見えます。

その光こそ、私の「森林浴ハイクツアー」で垣間見てもらいたいことなのです。

ぼんやりとした薄い光かもしれません。細い光かもしれません。

その光がその人のココロとからだを元気にする源であると思っています。

なので、ハイクする前にある問いかけが書かれた紙を参加者に渡します。そして、静かな森の中を歩きながら自分の心の内にあるものは何なのか、自分と向き合い、自分とたくさん会話してもらい、心の内に眠っているものを目覚めさせます。ありきたりな答えではなく、その人の心を揺り動かすぐらいの本当の答えを見つけないと光は見えてきません。その答えを見つけたら、きっと未来の自分はどうあるべきかが見えてきます。そうすれば、ココロとからだは自然とその未来の自分へ向かって歩き出そうとします。

人は穏やかで緊張がない状態に浸るのではなく、見いだしたものに向かって奮闘してこそ元気になります。

そう、ココロとからだが本当に元気になるために必要なことは、未来の自分を見いだし、そこに向かって歩き出す決意をすることであると思っています。

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