ギフチョウに出会える山に登る|大江高山

里では桜が咲き始め、春のぽかぽか陽気に体が包まれるころ、山の頂付近ではたくさんのチョウが飛び回っています。花にとまったチョウを写真に撮ろうにも近づくとすぐに逃げられてしまい、望遠レンズが欲しくなります。
チョウの名は「ギフチョウ」。春の女神といわれるチョウです。
ギフチョウは里山の放棄、開発などにより個体数の減少が著しく、絶滅が危惧されている希少な野生生物。環境省の絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。絶滅危惧Ⅱ類とは、絶滅の危険が増大している種であるということ。チョウの中でも保護活動が盛んに行われているそうです。

この大江高山は、ギフチョウやイズモコバイモといった希少な動植物に出会える山としてPRしています。もしかしたら、保護活動をされている方々はそれを謳い文句に人を呼ぶのは止めてよと思っているのかもしれません。

そんなギフチョウに会いに山に登ると、多くの花々が迎えてくれます。
島根県中部にだけ自生しているイズモコバイモ、ミスミソウ、イカリソウ、シュンラン、フデリンドウ、ヒトリシズカ、シャガ、ミヤマカタバミ、ムラサキケマン、たくさんのスミレなどなど。
こうした花々が登山道脇に咲き乱れ、急しゅんな道を少しばかり和らげてくれます。

大江高山のミスミソウ
ミスミソウ

そんな一面を持つ大江高山は、島根県大田市の南西部・大代町に位置する山で、その標高は大江高山火山群の最高峰で807.9m。
周囲の山の頂から三瓶山の横のもこもこした山塊を目にしたことがある人も多いと思います。
私自身もあのラクダのコブのようなもこもこした山塊は一体何だろうかと昔は気になっていました。
それが大江高山火山群で、大江高山を最高峰として大小30以上の峰が集結。
馬路高山を北端に仙山や八滝城山、三子山のほか、いくつもの無名のピークが連なっています。

大江高山火山群は、約百数十万年前の火山活動によって形成されたといわれ、粘性の高い溶岩だったことから地表を大きく持ち上げるなどしてこのような山容の原形を造ったと考えられています。
そして、このときの火山活動により石見銀山の銀鉱床が形成され、また、温泉津温泉の泉源もこの火山群に由来するといわれていて、私たちに多くの恵みを与えてくれた山なのだと思います。

大江高山多くのスミレ
多くの種類のスミレが咲いている
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登山口

メジャーな登山口は山田側登山口と飯谷側登山口の2箇所。これに加え、祖式町の伊勢階登山口があるとパンフレットには記載されていますが、よく分かりません。伊勢階という地名や道路上に登山口の案内板があるので行こうと思えば行けるのかもしれません。

大江高山ルート図
地理院地図を元に運営者が加工したもの

駐車場については、案内パンフレットにはどちらの登山口にもPのマークがありますが、山田側登山口に駐車場はありません。以前は消防団車庫前の広い広場に停められましたが、今ではロープが張られていて停めることができませんでした。仕方ないので、どこかの広い路側帯に停めるしかありません。飯谷側登山口には2~3台停められたと思います。

また、中間地点に数台車を置ける広い路側帯があるので、2つのコースを周回する場合はそこに停めるのもありです。

バスはJR大田市駅から出ており、どちらの登山口にもバス停があります。が、便数が少ないので現実的ではないでしょう。マイカーで行くのが無難だと思われます。

登山ルート

山田コースは一般コース、飯谷コースは健脚コースと紹介されています。飯谷コースは健脚コースの名のとおりかなり傾斜がきついです。山辺八代姫命神社裏手からはかなりの急峻で覚悟が必要。
なので、周回するのであれば飯谷コースで登って山田コースで下るのがいいでしょう。

ピストンするのであれば稜線歩きが楽しめる山田コースを利用するのがいいと思います。
ただ、山田コースもかなりの急登。山道に入るとしばらくは平坦ですが、植林帯を抜けるとかなりの急登が待っています。ジグザグに切ってありますがそれでも急登。いつまでも続く急登に心が折れそうになります。

大江高山の稜線
稜線歩きは心地いい

稜線に乗り、779mのピークを超えると勾配も落ち着きます。イズモコバイモ、ミスミソウ、イカリソウ、そしてギフチョウ。満喫しながらゆったりとした心持で歩けます。しばらく歩くとここから山頂まで1kmの標識があり、まだそんなにあるのかという思いと目の前にそびえる本峯へのきつそうな登り返し。もう下りたくないと思いながら、馬の背と呼ばれる痩せ尾根を越えて登り返せば大江高山の山頂です。登り返しは見た目ほどきつくありません。

大江高山
痩せ尾根

山頂からの眺望は素晴らしく、日本海を眼下に収めることができます。そして、三瓶山を近くに見ることができます。

大江高山山頂から
三瓶山が綺麗

大江高山、いい山です。ぜひ登ってみてください。どうせなら、春の訪れに合わせて。

大江高山イカリソウ
イカリソウ

※注意事項
登山ルート等の内容については、誤解や虚偽のないものであるよう努めていますが、経年変化や、災害による一時的な変化によって、記載された状況が変わっていたり、解釈に見解の相違が生じたりすることがあります。山行の際には、ご自身でも最新の情報を収集してください。

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