安芸太田町にある深入山は、家族で登れる代表的な名山です。
その深入山は、人為的に山焼きが行われているために草原で覆われており、女性的な山容で存在感のある独立峰となっています。
麓の深入山グリーンシャワーの駐車場から眺めただけで登りたくなる山(私だけ?)で、山頂まで50分程度で登れることから、小さな子どもでも登れ、紅葉の時期には多くの家族連れで賑わっています。
もともとは、麓でタタラ製鉄が盛んに行われていたために、その原料の炭を得るために深入山の樹木が伐採されていました。その後、牛馬の放牧や採草地として利用されたために草原化していったものと考えられています。
春から秋にかけて多くの花々が咲き誇り、さらに春のワラビ、秋のススキと四季の移ろいを最も感じることができる山です。
特に紅葉の時期はそのやさしい山容がさらに柔らかくなり、多くの登山者を魅了します。
また、頂上や登山道からの展望も抜群なため、登山者に愛されている山です。
私自身も、家族で登った山の中で最も多くこの山に登っています。
ちなみにこの深入山の南側の麓は、蔵座(ぞうざ)高原と呼ばれていました。(今でも呼ばれている?)
昔は、スキー場やオートキャンプ場ではない普通のキャンプ場もありました。
そのキャンプ場は山の中にあって、若いころにそこでBBQをしたことが、なぜか今でも記憶に残っています。
登山アクセス
さて、そんな深入山へのアクセスはやはり車が便利です。
戸河内ICから国道191号線を益田方面に走れば登山口へ着きます。
麓に駐車場もあり、秋の紅葉シーズンには、グランドも駐車場として開放されています。
一方、バスの場合は、いこいの村入口に石見交通さんのバス停がありますが本数が少ないです。
広島駅を9:45に出発し、バスセンター10:00、高速道路を通って、いこいの村入口に11:26着の益田駅行きです。
帰りは、いこいの村15:39発で広島駅に17:15着です。
その間は4時間あるので、十分に山に登ることは可能で、山登りプラスαで何かしないと時間を持て余すでしょう。
バス料金は、広島駅からいこいの村入口まで片道1,790円です。(R3年時点ですので、バスで行かれる際は再度確認してください。石見交通さんです。)
登山ルート
登山ルートは、東登山口、南登山口、西登山口がありますが、おすすめは駐車場があって、ぐるりと一周できる南登山口を起終点とするのがおすすめ。
グリーンシャワー管理棟には、売店なんかもありますし、管理棟周辺でゆっくり休むこともできます。
また、ここからの深入山の眺めがいいので下山後にゆっくり滞在することも可能です。
南登山口を起点に右回り、左回りのどちらでもいいですが、右回りだと山頂からの下山が超急勾配の道を下ります。
ケガしやすい下山は緩い勾配のほうがいいので、おすすめは左回り。
短時間で急勾配の道を一気に山頂まで登って、緩い勾配の道をゆっくり時間を掛けて下りるのがベストでしょう。
さて、南登山口からスタートです。(写真はいずれも秋の紅葉時期のものです)
いきなり急登から始まります(すでに息子は疲れています)。急いで登る必要はない山。ゆっくり登りましょう。
少し登るとこの景色です。
登山道からの展望がいいので、振り返りながらの景色が楽しめます。登っていても飽きることがありません。
時々、緩やかな道のところもありますが、基本的には山頂まで急登です。
息子は常に遅れがちですが、お子さんと登る際には子どもの時間軸、世界観の中で一緒に山に登ることをおすすめします。
「早く~」とかは禁句です。たまにはお子さんのペースで過ごしてみましょう。お子さんの知らなかった一面が見えてくるかもしれません。
登ること40分ほどで8合出合と呼ばれる場所に着きます。
ここは、いこいの村がある東登山口からの登山道との合流地点です。
ちょっとした休憩場所にいいところです。
少し先に見えるこんもりとした場所に百畳岩と呼ばれる場所があるので、時間に余裕があれば行ってみてください。
若いころは、ここで日の出を拝み、朝日をよく浴びていました。
懐かしい思い出です。
誰もいない真っ暗な登山道をひとりで歩くことは、恐怖以外の何物でもありませんでした。
でも、東の空が明るくなった時に覚えた安堵感、というより生きている心地というものは今でも忘れることがありません。それがよく来ていた原因かもしれません。
その場所から見た深入山の頂です。
朝日を浴びた深入山は、いつもとても穏やかでした。大好きな景色でした。
さて、8合出合から登ること10分、いや10分も掛からないくらいの登りでほぼ山頂にある見晴らし岩です。
岩の上に上がると南側の景色が一望できる場所です。
山頂まで行くと、この駐車場は見えないのでここで一度景色を堪能するのがおすすめ。
南西方面の景色です。
そして、そこから目と鼻の先にある山頂から北方面の眺めです。
山頂には1時間も掛からずに到着です。
山頂は平坦でかなり広いので、休憩場所には最適ですが、いつも多くの人で賑わっています。
下山は林間コースを歩きます。50分も歩けば駐車場へ着きます。
林間コースといっても、最初は展望の良い道を下ります。
勾配が緩やかなので、草花を見たり景色を見たりとゆったりとした気持ちにさせてくれるでしょう。
やがて林の中へ入ると、展望岩が現れます。
そこからの景色は一見の価値あり。
紅葉が綺麗な年にタイミングよく訪れると、息をのむような景色が広がっています。
まさに紅葉の絨毯です(ただし、あまり覗き込むのは危険です)。
林間コースは、上りとは一味違った表情を見せ、心がストンと落ち着くのを感じます。
新緑の時期もいいですが、やっぱり紅葉の時期のこの山がなぜか好きです。
そして、秋も終わりの頃に深入山を訪れると、ふと淋しさを感じることがあります。
無我夢中で走ってきたのに、なぜか淋しさがこみ上げてくることがあります。
本当にこれでよかったのか、とさえ思うこともあります。
山は、いろんなことを私に問いかけてきます。
そして私も、いろんなことを自分に問いかけます。
でも、もしかしたら、
本当に大切なのは問うことではなく、その問いに応えることなのかもしれないとよく思ってました。
子どもが小さいころから秋になると登っていた深入山。
そんな娘も20歳を超えてしまいました。
機会があれば、また子どもたちと深入山へ行ってみようかなと思います。
あの頃の感情がなんだか懐かしくもあり、愛おしくもなった今日この頃でした。
※注意事項
登山ルート等の内容については、誤解や虚偽のないものであるよう努めていますが、経年変化や、災害による一時的な変化によって、記載された状況が変わっていたり、解釈に見解の相違が生じることがあります。山行の際には、ご自身でも最新の情報を収集してください。