ショウキラン、トケンラン、オオヤマレンゲに出会える山に登る|吉和冠山

吉和冠山は、広島県廿日市市の西中国山地に位置する山。

その標高は1338.9mで、広島県では2番目に高い山となっています。

広島県の最高峰は、島根県との県境にある恐羅漢山の1346.2mです。

しかし、この吉和冠山は県境にはないので、広島県単独の山として最高峰です。

国土地理院の地形図では「冠山」となっていて、頂上部はその名のとおり冠のような山容をしています。

特徴的な山容なので、遠くからでも「あれが吉和冠だ!」とすぐに分かります。

ちなみに、「冠山」と記されている山は全国に13座あり、そのうち広島県には6座もあります。

それぞれ頭に地名を付けて呼んでいて、「吉和(安芸)冠山」「湯来冠山」「中野冠山」「可部冠山」「久地冠山」「布野冠山」の6つですかね?

そんな吉和冠山は豊かな森に囲まれ、太田川源流の碑もあることから深山幽谷の雰囲気に包まれた山です。

この山をひとりで歩くと、あまりの静けさに五感のアンテナがビンビンに働きます。

どこかでクマに出会いそうな、そんな雰囲気に包まれています。

新緑の吉和冠山

春にはカタクリの花が咲き、6月になるとイワカガミ、サラサドウダン、オオヤマレンゲ、トケンラン、ショウキランなど多くの花々に出会えます。

なかでもショウキランはなかなか目にすることができません。毎年6月に登っていますが、近年はまったくと言っていいほど出会えていません。

なお、有名な登山投稿サイト(歩いた軌跡と写真とコメントを投稿するやつです)では、花の位置が分かるように投稿されている方をよく見かけます。

盗掘などの被害を防ぐためにも、位置は隠していただきたいと切に願っています。

さて、話は戻ってオオヤマレンゲですが、山口県ではこの寂地山系のみで出会えるそうです。

ただ、広島県では鈴ヶ峰近くの鬼ヶ城山でも見れたりするので、そこまで珍しくもない?

オオヤマレンゲ
スポンサーリンク

登山口

一般的な登山口は「汐谷」と「松の木峠」。

「汐谷」からはローソク岩やクルソン仏岩を経由することができ、多くは谷沿いの道を歩きます。

一方「松の木峠」からのルートは、ほぼ尾根道。太田川源流の碑やオオヤマレンゲに出会えます。

松の木峠からのルートは寂地山や広高山、額々山にも行けるのでコースに組み入れても面白いかも。

ただ、広高山へのルートはかなり難ありですが。

車が2台あれば、2つのルートを歩くことが可能です。

松の木峠は、近くの道路脇に数台置けるスペースがあったのでそこに駐車していましたが、なんと有料化されてしまいました。一日500円です。

もう、松の木峠から登ることは減るような気がしています。

汐谷は、林道終点の駐車スペースがありますが、早い者勝ちです。

手前の駐車スペースか、高速道路の高架下に停めたほうが無難かも?

また、バスでの山行も可能です。

バス停のある場所は国道186号線沿いのため、少し歩かないといけませんが2つのコースを歩くことも可能です。

ただ、平日の場合は11時前に着くのでピストンで考えたほうがいいです。

土日祝であれば、JR宮内串戸駅から7:32発の広電バスに乗り、途中吉和さくらバスに乗り換えて「冠高原入口」バス停に8:48に着きます。

帰りは、「潮原温泉」バス停から15:49発のバスに乗れば17:07にJR宮内串戸駅に着きます。

登山できる時間は7時間もあるので、個人差はありますが2つのコースを歩くことは可能だと思います。

驚くべきは、そのバス料金。

広電バスは400円ほど掛かりますが、吉和さくらバスはなんと150円。片道550円で行けてしまうのです。まあ、JR料金も掛かりますが。

冠高原の駐車場が有料化されたので、吉和さくらバスで行くのもありだなと思っています。

186号線の道はカーブの連続で、バイクの事故も多いので。

吉和冠山ルート図
地理院地図(ベースマップ)を元に運営者が加工したもの
登山・山登り・ハイキング・トレッキングツアー

登山ルート

昔は汐谷からピストンでよく登っていましたが、最近は松の木峠から登るほうが多いです。

どうも汐谷の沢の音が大きくて、五感のアンテナがビンビンに張れない感覚に陥るためです。

クマと出合い頭に遭遇なんてことがありそうで…。山の雰囲気は汐谷のほうが好きなんですけどね。

汐谷

汐谷からのルートは多くの人が登っているためか明瞭です。

汐谷沿いを進み、オオタキと呼ばれる場所でウシオ谷道と分かれクルソン谷を登ります。すぐに林道が現れるので横切ります。

途中クルソン仏岩への分岐が現れますので、かなりの急登ですが寄り道しましょう。

ローソク岩に登ると吉和冠山の山容がよく分かります。

そこから40分も歩けば山頂です。

冬の吉和冠山登山道

松の木峠からのルートは基本尾根道ですが展望はなく、深い森の中を歩く感じです。

初めも緩やかな道ですが、標高1150mを越えるとさらに緩やかな道になります。

気付きにくい土滝山の頂を越えて分岐を折れ、源流の碑あたりにくるとうっそうとした道を歩くことになります。

道は明瞭なので迷うことはありませんが、土滝山も源流の碑も登山道から外れた場所にあるのでご注意を。

新緑の吉和冠山登山道

寺床と呼ばれる場所から犬戻峡や林道へ向けて下りる踏み跡が以前はありましたが、僅かな踏み跡もなくなっていました。

マイナーな道を歩く人は少なくなっているのかもしれません。

また、雪山の時期もおすすめ。

キーンと張りつめた空気の中、本当に「シーン」という音が聞こえてくるくらいの静寂に包まれています。

特に土滝山周辺は本当に素晴らしい所です。

雪の吉和冠山

汐谷の林道終点からのピストンでのコースタイムは約3時間。

松の木峠からのピストンは約3時間30分とあまり大きな差はありません。

汐谷→吉和冠山→松の木峠も松の木峠→吉和冠山→汐谷もコースタイムは約3時間ちょっとなので、お好きなほうで。

なお、「冠高原入口」バス停から「松の木峠登山口」まで約1.4km。

「潮原温泉」バス停から林道終点の「汐谷登山口」まで約1.3kmあります。

歩行時間30分として考えてもバスの時間には十分余裕があります。

なので、松の木峠→吉和冠山→汐谷で登って、最後に潮原温泉で汗を流せば最高の山行になること間違いなしです。

どちらのルートで登っても、ブナの原生林に包まれた深山の雰囲気を味わえます。

また、この山でしか会えない花もあります。

そして、どこからでも「あれが吉和冠山だ」とわかる山です。

ぜひ登ってみてください。本当にいい山です。

※注意事項
登山ルート等の内容については、誤解や虚偽のないものであるよう努めていますが、経年変化や、災害による一時的な変化によって、記載された状況が変わっていたり、解釈に見解の相違が生じたりすることがあります。山行の際には、ご自身でも最新の情報を収集してください。

スポンサーリンク