カタクリと美しい峡谷に出会う寂地山登山|穴場のキャンプ場もあり

今回ご紹介するのは、山口県と島根県の県境にある寂地山。

寂地山の標高は1337mで山口県では最高峰、島根県では2番目に高い山です。

代表的な登山ルートが山口県側の寂地峡から登るので、山口県の山として人気のある山で西中国山地では西の横綱に番付されています。

なぜ人気があるのかは、ダイナミックな峡谷と優雅な峡谷と2つの峡谷が楽しめ、カタクリも自生しているから。

とくに竜ヶ岳峡の五竜の滝はなかなか見応えがあるので必見です。

寂地峡には犬戻峡と竜ヶ岳峡があり、その2つ峡谷を総称して寂地峡と呼んでいます。竜ヶ岳峡には五つの滝が連続してあり、総称して五竜の滝と呼ばれ「日本の滝百選」に選ばれています。

国土地理院の地図には、竜ヶ岳峡が寂地峡と記載されていますが、観光案内だと犬戻峡と竜ヶ岳峡の2つを総称して寂地峡と呼んでいます。

寂地峡案内所からキャンプ場の中を寂地川沿いに少し上ると、「寂地峡五龍の滝」の石碑があり、そこから落差15メートルの「龍尾の滝」を見ることが出来ます。滝見道を登っていくと「登龍の滝」と「大乗淵」があり、「白龍の滝」が続いています。その上には落差18メートルの「龍門の滝」があり、最上段には落差14メートルの「龍頭の滝」と続いています。

寂地峡内の遊歩道

何といっても、それらの滝は遊歩道から間近に見ることができるので迫力満点です。

そして、人の手のみで掘った木馬トンネルも必見で、なんと10ヶ月かけて掘ったそうです。

寂地峡内の木馬トンネル

渓流は奇岩怪岩の変化に富んだ美しい風景が展開されていて、なかなか見応えのある峡谷です。山に登らなくてもこの五竜の滝を見ながら散策ルートを歩くだけで十分に満足のいくものとなっています。

もう一つの峡谷、犬戻峡もなかなか見事で竜ヶ岳峡とは対照的に大きな谷です。

寂地峡近くの犬戻峡

名前の由来ともなっている犬戻の滝は必見です。

麓の寂地峡キャンプ場には、板張りのサイトやケビンが格安料金でありますが、さびれた感のある観光地でした。しかし、この前訪れてみると、昨今のコロナ禍におけるアウトドアブームのおかげ?からか多くのキャンパーが訪れていて、少し活気が戻った感じがありました。

なかなかいい雰囲気を残す景勝地なので、少しでも活気が戻ってくれたらいいなと思っています。

夏はとっても涼しいキャンプ場なので、夏は多くのキャンパーで賑わっていたのではと思います。

ただ、寂地川が清流なのでアブが多い印象があります。虫よけアイテムは必須です。

また、板張りのテントサイトは、私にとっては貴重です。

年に数回しか使わないテントは、汚れを落とし完全乾燥させて帰りたいものです。家に帰ってからの再手入れは正直しんどい。

そんな理由から、テントボトム部の汚れを防ぎ、そこまで生地がビショビショにならない板張りは、私にとって大変貴重なのです。

そういえばこのキャンプ場、以前からそうでしたが、岩国に米軍基地があるせいか、アメリカ人と思われる人たちがキャンプしている姿をよく目にします。

アメリカ人には有名なキャンプ地なのかもしれません。

そして、山頂付近の登山道沿いにはカタクリが自生していて、花が咲く季節には多くの登山者が訪れています。
竜ヶ岳峡から登り、みのこし峠から山頂までの登山道沿いに、そして、松の木峠からの登山道沿いに自生しています。感覚としたら船通山には負けますが、松の木峠から登ると土滝山付近から山頂までず~っと登山道沿いに咲いてるのでゆっくり楽しむのならこちらのほうがいいかな。

昔は、カタクリの花が咲く時期になると多くの県外ナンバーの大型バスが駐車されていましたが、今ではどうなのでしょうか。

寂地山の登山道
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登山口

寂地山の登山口は、先に述べた寂地峡にあり、案内所の前には駐車場もあります。駐車場は約40台も駐車できるほど広さなので困ることはないでしょう。なんせ大型バスも駐車できますから。

もう一つは、広島県との県境にある松の木峠。広島県側の少し下った場所に数台駐車できるスペースがあります。

この松の木峠からは吉和冠山へも登れますので、季節によっては多くの車が駐車されています。

登山ルート

寂地峡から登り、寂地峡へ戻るのが代表的ルートです。

山頂までは遊歩道的な感じで歩きやすく、迷うことはまずないと思います。

ブナ林に覆われた広い山頂部には三角点がなく、標識がなければどこが山頂かは分かりません。

山頂まで終始展望はなく、「第十八回国体炬火採火の地」の石柱が山頂であることを教えてくれます。

展望のない寂地山頂

竜ヶ岳峡からみのこし峠へ向けて登り、左手の尾根道を800mほど歩き山口県第2の高峰右谷山の山頂を踏み、尾根道を引き返して約3.1km歩き寂地山の頂に立ちます。

山頂から北西約600mのところには額々山(がくがくさん)があるので、その頂を踏んでもいいです。

その額々山の標高は1278.9mで、県境に接しない山としては島根県の最高峰となります。

下りは犬戻峡へと降り、駐車場へと戻ります。

犬戻峡は奥まで林道が整備されているので、林道歩きが多くなります。約4.6kmの林道歩きです。

寂地山の周辺地形図
地理院地図(ベースマップ)を元に運営者が作成したもの

また、犬戻峡から登り、寂地山、右谷山を経由して浦石峡へと下るルートもあります。

浦石峡には木目の滝と呼ばれる瀑布があるので、こちらも必見です。

ただしこのルート、総歩行距離が約17.1kmとかなり歩くことになります。

もう一つは、松の木峠からピストンするルートです。途中吉和冠山との分岐などもありますが、片道約5.5kmの軽快な尾根道です。特に冠山との分岐から山頂までの道は本当にいい道です。個人的にはまた歩きたい道のベスト3には入ると思います。中国山地の最奥部。クマに出会えそうな山深く静かな場所へ来たなと誰もが実感できるはずです。

車が2台あれば、寂地峡と松の木峠に一台ずつ置いて、吉和冠山も含めて縦走することができます。

松の木峠の標高が776mで寂地峡駐車場の標高が約475mでその差は約300m。

どちらから登るかで、かなり違ってくるものと思われます。

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キャンプ場データ

キャンプと登山をセットですることも可能です。

板張りのサイト料は、1泊で2,090円(投稿日時点)とかなり格安。

板張りでなければ、なんと1,040円のサービス価格。

ただし、オートキャンプ場ではないのでご注意を。

でも、サイトによっては近くに車止めてる人もいるのでよく分かりません。

ケビンも4人までなら1泊10,470円とこちらもかなり格安。

穴場であまり知られたくないキャンプ場の一つです。

ちなみに、12月から3月までは閉鎖されています。

なお、国道434号線はかなりの酷道なので注意してください。

広島県側から行くとそうでもないですが、山口県側から行くとかなり狭い道を通ります。

もう何年も前から道を整備していますが、何年たっても完成しません。

宇佐八幡宮

寂地峡キャンプ場の近くには、宇佐八幡宮があります。境内には樹齢1,000年を超える「宇佐の大杉」があり、山口県の天然記念物に指定されています。

また、境内には「南蛮鉄灯籠」と呼ばれる灯籠があって、何でも室町時代初期(1437年)、藤原朝臣安信(ふじわらのあそみやすのぶ)によって作られたもので、大変貴重とのことで山口県の文化財に指定されています。

美しい2つの峡谷を見ながらぜひ寂地山へ登ってみてください。

寂地峡内の滝

※注意事項
登山ルート等の内容については、誤解や虚偽のないものであるよう努めていますが、経年変化や、災害による一時的な変化によって、記載された状況が変わっていたり、解釈に見解の相違が生じることがあります。山行の際には、ご自身でも最新の情報を収集してください。