森林セラピーとは、「医学的なエビデンス(証拠)に裏づけされた森林浴効果をいい、森林環境を利用して心身の健康維持や増進をはかり、疾病の予防を目指すものです。具体的には、森の中に身を置き、森林の地形を利用した歩行や運動、森林内レクリエーション、栄養・ライフスタイル指導などの方法によって、これらの目的を達成しようとするセラピーをいいます。いわば一歩進んだ森林浴です。森を楽しむことで、心身の快適性を向上させ、保養効果を高めていこうというもの。」とされています。
この森林セラピーは、「特定非営利活動法人森林セラピーソサエティ」の登録商標です。
森林セラピーの歴史
1999年森林浴の効果が今ほど詳しく解明されていない頃、日本林学会で「森林療法」という言葉が誕生しました。
森林療法とは「森林環境を利用したリハビリテーション、カウンセリング、療育、作業療法、代替療法など森林を総合的に活用した健康増進及び福祉医療のこころみ」と定義されています。
2004年に林野庁が厚生労働省と連携し、森林浴効果の医学的解明に向けた研究をスタートさせ、2006年に林野庁が「森林セラピー基地認定」を発表しました。
その後、生理・心理実験により森林の癒し効果が実証され、森林セラピーに適していると認定された道を森林セラピーロードとして認定し、そのロードが2本以上あり、健康増進やリラックスを目的とした包括的なプログラムを提供したり、充実した森林セラピーを受けることのできる様々な施設や環境が整っている地域は森林セラピー基地に認定されました。
現在は、前述のNPO法人森林セラピーソサエティが業務を受け継いでいます。
森林セラピー基地・森林セラピーロード
森林セラピー基地は、地域の森を人々の健康に役立てたいと考える、意欲のある地域の申請によって認定されます。
森林環境及び地域環境、安全面の評価を行い、加えて森を歩いたときの生理測定や心理測定を行った結果、すべての評価と調査基準にクリアした地域を認定するのです。
つまり、安全と安心が保障された森で、快適に森林浴を楽しむことができるという証なのです。
2020年4月時点で65か所(基地59、ロード6)もあり、そのほとんどの窓口は市町村という行政機関です。
私の住む広島県にも安芸太田町と神石高原町にあります。
また、島根県にも飯南町にあるみたいです。
ただ、森林セラピー基地以外の森には癒し効果がないことはなく、十分癒される森はすぐ近くにもあります。
私の住む町の裏山の極楽寺山の森によく行きますが、いい森が広がっていて癒されます。
逆に、ロードを整備していたりしても山なのですぐにボロボロになります。
以前、近くのセラピーロードを歩いてみましたが、ロードはボロボロになり逆に歩きにくくて、なんだかな~と思ったことがあります。
やはり、行政主導の非営利事業という壁がそこにあるような気がします。
私も行政にいた人間です。
まずは地域おこしという視点で取組み始めたのだと思います。
他の成功している市町と同じようなことをすれば交流人口が増える。そして、お金が地域に落ちる。
願わくば、移住人口が増えてくれれば儲けもの。
そんな安易な考えで始めたところもあるのではないでしょうか。
本来の基地の目的は、地域の森を人々の健康に役立てることです。
そして、月日が流れると、維持管理や人件費などの運営に多くの税金を投入しないといけない。
そうしないと人が集まらないからです。
でも、費用を毎年度投資するのであれば、事業としての継続性を考えないといけないため、KPIの設定や設定したKPIに達成したのかどうか。問われることはたくさん出てきます。
そうこうしてくると何のための事業なのかが見えなくなります。
元々、本来の森林セラピーの目的ではない地域おこしのために始めた事業だからです。
なんだかんだで担当者も異動で変わったり、熱も冷めてきたりと優先順位が下がり始めると費用を投資することもできなくなり、先ほどの話でも述べましたが、ロードがボロボロの状態。
定期的に追跡調査を行っているのか疑問さえ抱きます。
ぶれないビジョン
私は、森林浴という事業をビジネス化したいと思っている人間です。
それには、やはりぶれないビジョンが必要だと思っています。
何のためにこの活動をやっているのか、なにを目指しているのか。
その問いかけには、『自然体験について』の記事でも触れましたが、
私は、「森を楽しむことで、心身の快適性を向上させ、保養効果を高めていく」という一般的な森林浴をビジネスとしてしたいのではなく、やはり、人生の真の目的を垣間見てもらいたいとの思いしかありません。
人生の真の目的の答えなんて、きっとありません。
でも、その人の人生はその人しか選択できません。だから、自分の人生の意味を考えてほしいのです。
この活動を通して、少しでも多くの人に気づいてほしいとの思い。
自分は何者で、何を大切にし、どう生きていきたいのかを考えてほしいとの思いです。
その一つの手段として、森林浴というものを取り入れたらどうだろうか。
というのがそもそもの発端です。
それがビジネスとして成り立っていけるのか。
それは、近所の森を歩くのにわざわざお金をかけたいと思う人はいないからです。
「掛け合わせ」がヒントになるのかな~