今回ご紹介する山は広島市の安佐北区にある白木山です。
その標高は888.9mと昔に比べ若干縮んでいますが、末広がりの8が3つ並んだ縁起のいい数字となっています。
白木山駅近くの登山口の標高が約100mなので、その標高差は約790mと単独の山の一般登山道としては広島県内で最大?の標高差を誇る山です。
訓練登山として、また自分の体力の現状を知るために登る人も多い山です。さらに山頂から延びる稜線は軽快で走りやすいため、トレランの人も最近ではよく見かけます。
今の自分の体力レベルはどれくらいなのかを知る評価指針としては、1時間(実質50分)で500m登高できれば8.5メッツの体力があるといわれています。
本格的な登山をする場合はこの体力が必要といわれていますが、無雪期の一般登山レベルだと1時間(実質50分)で400m登れる体力(7.3メッツ)が必要とされていることから、中高年の方はまずはこのレベルを目指していけばいいと思います。
なお、普段運動をまったくしない中高年の人は、心肺トラブルを防ぐための安全な登山をするために300m/h程度のゆっくりとした登高スピードで登ってください。「これ遅くない?」と思うようなスピードで登ることが重要です。一般的には400m/hになると危険領域に入ります。登山はそれほど高強度なスポーツであることを自覚することが必要です。
白木山駅近くの標高約100mの登山口から登り、標高538mの5合目までを50分で登れば無雪期の一般登山レベルの体力(7.3メッツ)を有していることになります。標高630mの7合目まで登れれば本格的な登山レベルの体力(8.5メッツ)を有していることになります。
ここで勘違いしてはいけないのが、その体力は1時間だけで終わりではなく、そのスピードで何時間も登れるという意味での体力ということです。よって、かなり無理して登るスピードではなく何時間も登れるスピードで登った時にどうかということになります。
私が前回計測したときは5合目まで54分掛かりました。まだ無雪期の一般登山レベルの体力があって良かったと思ったしだいです。
山頂からは360°の景色が広がり望遠鏡も設置されるほど展望がききます。また、登山口や下山口が駅から近いことから多くの登山者に親しまれている山です。
そんな白木山の由来ですが、白木山には熊笹が茂っており、その笹に花が咲き笹の葉が白くなったことによることから名が付いたともいわれています。
初心者には少々きついかもしれませんが登れないことはありません。白木山の往復であれば登山道もしっかりしていて迷う箇所は見当たりません。また、これだけ人が登っているのであれば熊も避けてくれるでしょう。
また、広島市の山の大多数が花崗岩質の山ですが白木山一帯は珍しく流紋岩からなる山です。花崗岩はマグマが地下深い場所でゆっくり冷えて固まってできるのに対し、流紋岩は地上もしくは地上付近で急激に冷やされてできた岩石です。
また、花崗岩はマサ化しやすいですが流紋岩はきめが細かく、堅くて浸食に強い岩石です。
あのどっしりとした感じの白木山の山容は、あまり浸食されていない証なのかもしれませんね。
登山口
白木山への登山ルートはたくさん紹介されていて、それに伴い登山口もたくさんあります。
代表的なのはJR芸備線の白木山駅近くの登山口です。
また、上深川駅や中深川駅近くにも登山口があり、可部の広島文教大学や桐原や桧山にもあります。その他にも色々あるみたいなので、色んなコースを組み合わせて縦走することができます。
なので車でアクセスするのではなく電車を利用するのがおすすめです。駅to駅で結べるルートがあると山歩きの楽しさが倍増します。
ちなみに麓に駐車場はありません。
登山ルート
先に述べたように、登山ルートは数多く紹介されています。
代表的なのは、白木山駅近くにある登山口からピストンするルートとその登山口から白木山山頂を踏み、稜線を鬼ヶ城山まで歩き上深川駅へと下りるルートです。私もこのルートしか歩いたことがなく、いつかは中深川駅や広島文教大学がある可部方面へと下りてみたいと思っています。
それ以外にも上三田駅から尾根伝いに登るルートや可部の桐原方面からのルート、市川桧山方面からのルートなどなど本当に多くのルートが存在しています。それだけ多くの市民に愛されているということが分かる山です。国土地理院の地形図を見ても、本当に多くの徒歩道が記されています。今でも存在しているのかは分かりませんが。
ちなみに桐原と書いて「とげ」と読みます。私はかれこれ何十年も広島に住んでいますが、最近まで「きりはら」だと思っていました。お恥ずかしい限りです。
さて、代表的な登山口である白木山駅近くからの登山道は、赤土混じりで広くてよく踏まれている尾根道です。多くの人が歩いている道であると実感できます。また、一合目から九合目までのすべての合目にお地蔵さんと標識が置かれているので何度も足を止めたくなります。
二合目を過ぎると穴の中にお地蔵さんが置かれた「穴地蔵」があり、538mのコブに上がるとそこが五合目です。少しだけ展望がきくので一休みする場所として最適です。
七合目を過ぎると水槽の中にホースで引かれた水が蓄えられている水場に出ます。透き通るような水で見るからに美味しそうな水です。ここから道が二分しますが、九合目で合流します。
山頂は一面芝の絨毯が広がる丘です。避難小屋や白木山神社、望遠鏡に電波塔があり、360°の大展望の眺めは見ていて飽きることがありません。
体力に余裕があれば、登った道を降りるのではなく「上深川駅7.3K」と書かれた標識方面へ行かれることをおすすめします。思わず走り出したくなるような軽快な稜線歩きが続きます。途中左手に下る分岐が2箇所ほどあります。鬼ヶ城山方面へ行きたいのであればどちらも直進します。左手に下りれば白木山駅へ戻れますが歩いたことはありません。
さらに歩くと、車道に出て大きな電波塔を2つ巻きます。2つ目の電波塔を巻いていると右手に中深川駅との分岐があります。鬼ヶ城山方面はそのまま巻道を進みます。ここからいくつもの分岐がありますが、車道ではなく尾根道を進んでいくと鬼ヶ城山へと辿り着きます。
ここから転げ落ちるような急斜面を下ると電波塔が現れ、さらに下ると二十畳岩との分岐に出ます。左手すぐの場所にあって、展望の良い岩場なので休憩に最適な場所です。
そこからも急斜面の尾根道を下り、やがて谷に下りて歩きにくい沢沿いの道を下れば車道に出ます。
ここから上深川駅までは約1kmです。
※注意事項
登山ルート等の内容については、誤解や虚偽のないものであるよう努めていますが、経年変化や、災害による一時的な変化によって、記載された状況が変わっていたり、解釈に見解の相違が生じることがあります。山行の際には、ご自身でも最新の情報を収集してください。