尾根を下りで使うと実は迷いやすい|地図の先読みが必要

尾根とは「谷へ向かって周囲より高くなっているひと続きのライン」です。

でも、そうひとくくりにまとめることはできないほど、尾根にはさまざまなものがあります。

下図の黄線のようにひと続きの長いラインの尾根もあれば、青線のように短いラインの尾根(すぐに終わってしまう尾根)もあります。

この山を対岸から見ることができるのなら、きっと黄線の尾根線しかわからないのではと思います。

それ以外の尾根は目立たないし、わからない可能性が高いです。

なので、重要なのは「尾根としてひと続きとなるライン」の長さです。

ラインを把握するには、上図のように曲率半径のいちばん小さな場所を、その線に直交する方向に結んでいったものと一般的にいわれています。

上図のように2点しかつながらないものもあれば、黄線のように長いラインとなるものもあります。このラインが長ければ長いほど、現地でもわかりやすい尾根であるといえます。

このように地形図上の尾根にはさまざまな表情があり、登山道が長いラインの尾根から違う尾根へ向かう場合は、迷いやすいポイントです。

特に下りでは迷いやすくなります。

登りでは、尾根は一つにまとまりながらピークへ向かうため迷いにくいですが、下りでは尾根は谷へ向けて小さく枝分かれしていくからです。

下図の1→2→Aの尾根は、ひと続きのラインが周囲の尾根より長いため目立つ尾根です。

1の地点から2の方向へ尾根伝いに歩いていくと、何も考えなくても自然にAまで辿り着くでしょう。尾根の向きに逆らって歩いてないからです。

しかし、もし登山道が2の地点からBの方向へ向かっているのであれば、2の地点で尾根の向きに逆らう必要があります。

これが、登山道で明瞭な踏み跡があるのであれば、この2の地点は現在地把握のポイントとなる場所でしょうが、Aに向かってのびる踏み跡が少しでもあれば、一気に難易度があがります。

高圧線鉄塔の巡視路や林業関係の人たちがつける踏み跡がある可能性があるため、特に低山ではこのような分岐に多く遭遇します。

迷いやすい尾根道の地形図

そう、こういった場所が道迷いが発生するポイントです。

2からBへ向かって薄い踏み跡しか付いていない場合は、気付かずにAまで行ってしまいます。

高圧線鉄塔の巡視路などはかなり明瞭であり、尾根の向きに沿って歩いているから、違和感に気付かないのです。

逆に2からAに向かって薄い踏み跡であったとしても、尾根の向きに沿って歩いてしまう可能性があります。

2からBに行くほうが違和感があると思うことも少なくないからです。

一つ違う尾根を気付かずに下り続けると、間にある谷はどんどん大きくなります。

仮に道の間違いに気付いても谷を越えて正規の登山道へ行くことは危険です。

来た道を引き返すしかありません。

実際には、コンパスを使い歩く方向を確認する方法がベストであると思いますが、正規の尾根と間違った尾根の方向が並行している場合は、これもまた難しくなります。

よって、ここで重要になるのが地図の先読みです。

2からBへ向かう登山道が記されているのであれば、「途中で主尾根を外れ、違う尾根へ行く分岐点がある」ということを先に知っていると、道迷いの確率が下がるからです。

ここに地図を読む意味があります。