心震える風景に出会える大山登山|伯耆大山は一度は登るべき名山

大山は中国地方の最高峰であり、大山隠岐国立公園の中心地。

今から約2万年前、火山の噴火でできた山であり、カルデラ火山の上にトロイデ火山が重なる複合火山で、基底部に古期大山があるとされています。

日本海に面する孤立峰としてそびえているため、特有の自然が形成されていて、なかでも山頂付近に分布するキャラボクやナンゴククガイソウ、ヒトツバヨモギ等の亜高山性植物は学術的にも貴重な植物です。

その中でも、キャラボク(ダイセンキャラボクと呼ばれる)は国の天然記念物として指定されており、植生は、山腹地帯の原生的なブナの天然林から、亜高山帯に属する山頂のダイセンキャラボクの純林までの垂直的な植物群落の推移が見られます。

また、動物相はクマ、シカ等の大型ほ乳動物は生息していませんが、鳥類の宝庫ともいわれ、昆虫類では固有種、大陸系、北方系、南方系の種が分布しており、種の多様性に富んだ豊かな山です。


奈良時代、金蓮上人が霊場として開山、金色の狼に導かれこの山に分け入った金蓮伝説はよく知られています。

大山は熊野山、金峰山と共に元は一つであり、それが三つに分かれ、いつしか山岳信仰の対象となりました。平安時代には修験道の霊場として栄え、江戸中期には、西明院谷・南光院谷・中門院谷の3院谷42院からなり、その僧兵総数3,000人僧兵を抱える勢力までに発展したそうです。

従来、大山に登る行者のための遥拝所として始まったのが、大山寺の境内から日本一長いとされる自然石を敷き詰めた石畳の参道を登るとある大神山神社の奥宮です。全国最大級の壮大な権現造りで有名ですが、大山寺の本殿として、大山全体の山岳信仰の聖地となっていた歴史があります。
明治初年の神仏分離令により、今ではその社殿が大神山神社奥宮となりました。御祭神は、国造りに貢献された大己貴神(おおなむちのかみ)、いわゆる大国主命(おおくにぬしのみこと)で、出雲で八岐大蛇を退治したことで有名なあの須佐之男命(スサノオ)の子孫です。

山名は、文字通り大きな山の意味で、山(せん)は修験道の山を表しています。

伯耆三山(大山、船上山、三徳山)の一つに数えられ伯耆大山とも呼ばれ、古くは「火神岳(ひのかみのたけ)」「大神岳(おおかみのたけ)」と呼ばれていました。大山の現存する最も古い記述は、奈良時代に書かれた「出雲国風土記」の国引き神話にまでさかのぼります。
「出雲国風土記(いずものくにふどき)」とは、第43代天皇である元明天皇が713年に諸国に下した風土記の編纂命令によるもので、733年にほぼ完本の形で完成した唯一の「風土記」です。

大山は、火山噴火による火砕流砕石や火山灰などのもろい岩質で形成されているため風化の激しい山で、山頂付近の土質流失が激しく、山頂崩壊が進行中です。

見事な形の伯耆富士
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大山の標高と地形図

標高の最高地点は剣ヶ峰で1729mですが、弥山から剣ヶ峰は崩壊が激しく危険なため立ち入り禁止となっています。

弥山は1709.4mで、三角点があります。昔は1710mあったので、やはり崩壊が進んでる!?

夏山登山道の登山口の標高は約780mですので、山頂へは930mほど登る必要があります。

地理院タイル(ベースマップ)

大山登山駐車場とアクセス

大山登山のためのアクセスは優れていて、バスでも車でも麓まで難なくアクセスできます。

バスであれば、JR米子駅からバスが出ており、大山寺というバス停まで50分で到着。最も早い便は、米子駅を7時20分に発車して、8時12分着です。日本交通さんのバスです。

車でも麓に多くの駐車場があるので、どこかには停めれます。12~3月以外は基本無料であったと思います。

個人的には、登山口に近い下山駐車場南光河原駐車場がおすすめで、トイレも近くにあって便利です。よくここで車中泊したり、下山キャンプ場でテント泊して朝一で大山登山してました。

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大山登山ルート

個人的によく利用するルートは、下山駐車場か南光河原駐車場に車を停めて、夏山登山道を上り、元谷ルート(行者登山道)で下山するルート。

帰りに大神山神社大山寺に参拝して、ぶらぶら街歩きして帰ります。ちょっとした観光気分も味わえるのでおすすめです。

夏山登山道だと、登山口から6合目の携帯トイレブースのある避難小屋まで約1時間30分。そこから山頂まで約1時間の計2時間30分で登れます。ガイド本では山頂まで3時間となるので、目安としては3時間を見ておいたほうがいいかもしれません。

下山は、大神山神社まで2時間程度です。晴れた日は、景色を見ながらの登山となるので、それ以上に時間が掛かるかも!?

登山道はそのほとんどが階段状になっているのでストックがあれば安心です。また、登山道として綺麗に整備されほぼ一本道なので迷うこともありません。初心者や子どもも登っているので、頑張れば登れます。ぜひチャレンジしてみてください。

地理院地図(ベースマップ)を元に当運営者が加工したもの

最も一般的な登山口、夏山登山口です。

6合目あたりまでは、ブナの樹林帯の中を歩きます。

展望はききませんが、ブナ林は美しく森林浴が味わえます。

木階段ですが、段差もそれほどないため歩きやすいです。

大山夏山登山道樹林帯

秋の紅葉時期は、何度も見上げてしまいます。

あまりの美しさにため息が出るほど。

大山夏山登山道樹林帯

6合目を過ぎると、若干段差が大きくなりちょっと辛くなります。8合目を過ぎて現れる木道までの辛抱です。

でも振り返るとこの大展望。

ここでもため息が出るほどの美しい景色に出会えます。

大山登山道からの眺望

山に登った人にしか味わえないものがここにはあります。

大山登山道からの眺望

そして、山に登ることでしか見えてこないものがあります。

大山夏山登山道木道

それは何かと問われても、それを言葉で説明することはできません。

大山登山道木道

だから、多くの人に山に登ってほしいと思います。

大山登山道木道からの弓ヶ浜

どんなにITが進んだ社会になっても。

大山頂上から剣ヶ峰の眺望

ドローンに乗って山頂まで行ける時代が来たとしても。

大山登山道元谷ルート

山に登ることは決してなくならないと思っています。

大山登山道元谷からの景色

それは、自分の足で登ることでしか見えてこないものがあるからです。

大山山頂避難小屋からの眺望

人間として、生きる意味の根本を垣間見ることができるからです。

ぜひ皆さんも山に登ってみてください。

地質図

1/50,000地質図GISデータ(産総研地質調査総合センター)を使用し、当運営者が加工したもの

山頂付近は、火成岩です。

火成岩とは、マグマが冷え固まってできた岩石。

デイサイト・流紋岩とあるので、マグマが急速に冷えてできた岩石であることがわかります。

火砕岩とは、火山活動で放出されたさまざまな大きさの砕屑物が固まってできた岩石のことです。

大山は火山噴火によって生まれた山であることがわかります。

また、形成時代が新生代第四紀とあるので、地球の46億年にわたる長い歴史の中で、地球上に人類が進化・拡散し、活動している現在を含む最も新しい時代に形成されたものであることがわかります。

※注意事項
登山ルート等の内容については、誤解や虚偽のないものであるよう努めていますが、経年変化や、災害による一時的な変化によって、記載された状況が変わっていたり、解釈に見解の相違が生じることがあります。山行の際には、ご自身でも最新の情報を収集してください。