登山用テントの生地素材による分類|素材による長所・短所は?

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登山用テント、いわゆる山岳テントに何を求めますか?

それは快適性だったり、軽量・コンパクトだったり、安定性だったりと人それぞれでしょう。

また、「出入口が長辺側か短辺側か」、「自立式か非自立型か」、「ダブルウォールかシングルウォールか」も選択肢として存在し、それぞれに一長一短あるので悩みますが選ぶ楽しみもありますよね。

まずは快適性。

山岳テントは横になって寝られればいいという人が大多数でしょうが、雨のときに停滞しないといけないときなどはもうちょっと快適だったらなと思うことがあります。

一人用のテントを買うか、二人用のテントを買うかで悩むのはこのせいでしょう。

快適性を求めるとなると、前室が広いテントやサイズが大きいテント、+1人用のテントを選ぶしかなく、重量・コンパクト性を犠牲にするしかありません。

軽量・コンパクト性を優先させるのであれば、ある程度快適性を犠牲にするしかありません。

よって、快適性を優先させるか、軽量・コンパクト性を優先させるかになります。

安定性については、日本の山岳テントメーカーのものであればここで悩む人は少ないかもしれません。

さすがに一般的なキャンプテントメーカーのコールマンやロゴスのテントを選ぶ人はいないでしょうから。

その他の一般的な内容については他の人の記事を見てもらうとして、ちょっと違う視点、テントの生地はどうなのか調べてみたいと思います。

密集しているテント
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シングルウォールテント

一枚の壁(生地)で済ませるため、その生地には外からの雨を遮断する防水性とテント内部からの蒸気を外へ逃がす透湿性が求められます。

なお、ツエルトやシェルターも一枚壁ですが、不測の事態が起きたときに使うものであるため一般的なテントとは違い透湿性・通気性のないものがほとんどです。

一般的なテントで一番有名なのは、レインウェアなどでも使用される透湿性に優れたゴアテックスを使用したもの。

と思っていましたが、もうゴアテックスのテントは市場から消えているんですね。

日本ではなく北米の話ですが、サーカステントで起こった大火災事故が原因で難燃性基準を法律で定めたとのこと。山岳用テントは該当しないけど、テントメーカー各社はゴアテックスファブリックスの使用を自粛しているとのことです。

これが2018年の話。相当、時代に追いついてないです。

どおりでテントメーカーのHP覗いても出てこないわけです。

代わりにテントメーカー各社は独自の防水透湿素材を用いています。

ポリウレタンコート生地であったり、ゴアテックスやeVentと同じ素材であるePTFEというものもあったりします。

このePTFEの素材を使ったテントは通気性があるとうたわれているので、eVentそのものですね。

eVentの権利を持っているのがGE社ですが、GE社はeVentを各アウトドアメーカーが独自に付けた名前で売りだすことを許諾しています。

きっと、日本のメーカーもこの権利を購入し、自社の名前で売り出したのでしょう(個人的見解です)。

シングルウォールテントは今後下火になるかもしれません。

ダブルウォールテントが軽量になったことから、シングルウォールテントのメリットに価値を見いだせないからです。

モデルチェンジしたモンベルのマイティドーム。素材も新しくなりePTFE素材?

モンベル montbell マイティドーム1 1122658 サンライトイエロー SUYL

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感想(1件)

ダブルウォールテント

テント本体は通気性のあるインナーシートで、その上を防水性のあるフライシートで覆う2つの壁を持つテントです。

シングルウォールテントとあまり変わらないぐらいの重さまで軽量化が進んでいるので、シングルウォールテントのメリットより大きな魅力を感じ、ダブルウォールテントを購入する人が多いのではと思います。

一般的に雑誌や書籍などで初心者におすすめされるのは、このダブルウォールテントです。

生地の構成は、フライシート、インナーシート、グランドシートに分かれています。

その生地は、強度に勝るナイロン一択かと思いきや、ポリエステルを採用しているメーカーもあるのでメーカーごとのこだわりみたいなものを感じます。

ダブルウォールテント

フライシート

フライシートについては、ナイロンとポリエステルの半々な印象です。

ナイロンはポリエステルよりも引張や衝撃に対する強度は上で、また無類の耐摩耗性の強さを持つ素材です。

また、よく伸びるので風の影響を受けるフライシートに適しているといえます。

一方ポリエステルは、ナイロンよりも紫外線劣化など対候性に強く、温度や湿度による伸縮性も少ない素材です。

また、吸水しない繊維で吸湿性もナイロンより低いので、濡れても速乾性に優れ、重たくなりにくいです。

テント泊の翌日の朝は夜露や結露でフライシートはぐっしょり濡れていますが、ポリエステルだと早く乾き、重たくもないということです。

また、雨のときは強い風を伴うことが多いです。ポリエステルはナイロンより伸びにくいので、強い風が吹いてもインナーと接触しにくく、呼び水による漏水がしにくいといえます。

どちらも一長一短ありますが、強度を優先するか、使い勝手や対候性を優先するかの2択かと思われます。

フライにポリエステルを採用している日本メーカーの山岳テントは、プロモンテのVLシリーズとエスパースの各テント(ソロ・デュオ・スーパーライト)です。

プロモンテVLシリーズ

エスパーステント

インナーシート

インナーシートは外から2番目の壁なので、紫外線劣化による対候性を必要としない部分だと思われます。

どちらかというと強度は当然として、難燃性の観点でナイロン一択になるものと思ってましたが、燃えやすいとされているポリエステルの生地を使っているテントもあるので一概にはいえないのかもしれません。

ただ、やはり難燃性であるナイロン生地のテントが多い印象です。

難燃性の観点かどうか分かりませんが...

主要な日本メーカーの山岳テントにおいて唯一ポリエステルを採用しているのは、モンベルのステラリッジです。

モンベル ステラリッジ

本体グランド部・ボトム部

本体のグランド部は、直接地面に触れる場所であることから引張や衝撃に対する強度は上で、また無類の耐摩耗性の強さを持つ素材であるナイロン一択かと思いました。

しかし、これもまたポリエステルの生地を使っているテントもあるので、これもまた一概にはいえないのかもしれません。

ただ、こちらも強度に勝るナイロン生地のテントが多い印象です。

また、ポリエステル生地のテントは、別途アンダーグランドシートを使うことが推奨されています。

こちらも強度の観点かどうか分かりませんが...

少しでも軽量化したいのであればナイロン生地のものを選び、アンダーグランドシートを持っていかないとうことも選択肢としてあります。

グランドシートにポリエステルを採用しているのは、日本の主要メーカーではプロモンテのVLシリーズとヘリテイジのハイレヴォ(HI-REVO)です。

ヘリテイジのHI-REVO

テントごとの素材

今までのことをまとめると、素材で違いが出てきそうなのは「フライシート」と「グランドシート」ですね。

フライシートがポリエステルであれば夜露や結露、対候性に対して有利。

グランドシートがナイロンであればアンダーグランドシートが省ける。

といった感じです。

メーカーごと、テントごとに素材をまとめると次のようになります。

プロモンテ

VLシリーズ

  • フライ:ポリエステル
  • インナー:ナイロン
  • グランド:ポリエステル
アライテント

エアライズ・トレックライズ・オニドーム

  • フライ:ナイロン
  • インナー:ナイロン
  • グランド:ナイロン

アライテント エアライズ

アライテント トレックライズ

アライテント オニドーム

ヘリテイジ

ソロ・デュオ・スーパーライト

  • フライ:ポリエステル
  • インナー:ナイロン
  • グランド:ナイロン

HI-REVO

  • フライ:ナイロン
  • インナー:ナイロン
  • グランド:ポリエステル
モンベル

ステラリッジ

  • フライ:ナイロン
  • インナー:ポリエステル
  • グランド:ナイロン
ファイントラック

カミナドーム

  • フライ:ナイロン
  • インナー:ナイロン
  • グランド:ナイロン

ファイントラック カミナドーム

こちらの「スノーピーク 」のテントも面白い。

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テントをレンタルで試してみる

悩んでいるのなら、いきなり購入するのではなく、まずレンタルしてみて使用感を試してみるのも一つの方法です。

一人用がいいのか、二人用とすべきかなどなど。実際に使ってみないとわからないことが多いです。

こちらの「やまどうぐレンタル屋 」さんでは、取り扱っているテントのラインナップが凄いです。

モンベルの「ステラリッジ」、アライテントの「エアライズ」、ダンロップの「VS」、ファイントラックの「カミナドーム」、エスパースの「スーパーライト」などがレンタルできます。

モンベルの「ステラリッジ1」だと、一泊二日で税込4,800円です。

プロモンテがないのが残念ですが、十分に比較することができます。

家族用テントを一度レンタルしたことがありますが、使ったままで返却できるので楽でした。

ただ、1万円未満だと送料がかかるので注意が必要です。