広島市で登山初心者におすすめな山といえば、広島市西区にある三滝山です。
私が最もおすすめしたい山です。
その理由は、
・JRの駅から近い
・趣のある三瀧寺が登山口と下山口になっている
・雰囲気のある竹林を通る
・いい森が広がっている
・山頂からの景色が素晴らしい
の5つの理由によるものです。
まず、交通の便がいいのは車を持っていない人が多い中で有利な点です。
JRの三滝駅から登山口(下山口)の三瀧寺までは約850mしかなく、15分も歩けば到着します。
また三瀧寺の近くにバス停もあります。
そんな都市に近いのに、三瀧寺に入ると一瞬にして日常生活から離れ違う世界に紛れ込んだような感覚になります。
標高356mの三滝山の谷間に位置しているせいか境内は静寂に包まれ、沢水の音が響きわたるしっとりとした趣深いお寺となっています。
ちなみに、境内には3つの滝(幽明滝、梵音滝、駒ヶ滝)があって、これが三滝の由来です。
また、三瀧寺の駐車場は参拝者用です。
「登山者の方はとめないでください」との立て看板がありますのでご注意を。
ルールとマナーは守りましょう。車で行く場合はコインパーキングを探すしかありません。
土日祝なら太田川放水路の河川敷に停められる可能性があります。
位置関係
三滝山、別名宗箇山の位置関係です。
登山ルート
登山ルートは、三瀧寺を起点に右回りでも左回りでもいいです。
ただ、雰囲気のある竹林やいい森はAコースにあります。
また、三瀧寺の本堂の奥にAコースの登山口があるため、境内の散策を最後まで残しておきたい人は左回りとなります。
最後にゆっくり三瀧寺境内を散策するのもいいですよね。お茶屋さんもあるので、まったりくつろげます。
ちなみに私は右回り派です。
理由は、登山にまったく関係ない、朝の三瀧寺がなんとなく好きという理由によるものです。
朝一で三瀧寺の境内を散策すると、そのままAコースで登ってしまってます。
三瀧寺を出るとすぐに趣のある竹林の中を歩きます。
かつてこの辺りが新庄村と呼ばれていたころは、「新庄筍」として市場に出荷し他の産地のよりも高く取引される人気商品だったそうです。
また、この竹林が広がる前は松茸が多く採れ、こちらも「新庄松茸」として市場に出荷し人気だっだそうで秋は松茸狩りの人で賑わっていたとか。
そんな竹林もイノシシが筍を食べるために掘った穴で荒れ、年々竹林が拡がっている気がします。
三滝山にはかつて水晶が採れる場所があり、水晶谷と呼ばれていました。
多くの人が勝手に横穴を掘ったため、山の所有者は大変迷惑したそうです。
探せばどこかに痕跡が残っているかもしれませんね。
また、この谷はマムシの多い場所として有名なので、谷を歩く際には気をつけて歩きましょう。
リョウブの木が多いのは、戦前は飢餓を救う食品として、戦後はご飯と一緒に炊き込んで食べていたからです。
リョウブの木肌は美しく茶室の床柱などにも使われるので、上田宗箇と関係あるのかな?
さらに戦時中は、大きな松の木の幹に傷をつけ、松ヤニを採取して軍に納品していたそうで、その傷跡は今でも見ることができます。松ヤニを精製し飛行機の燃料にしていたとのことです。
こういった話を聞くと、今の時代はやっぱり平和なんだなとつくづく実感します。
谷から稜線に登ると、広島市に近いのになかなかいい森が広がっています。
近郊の山と変わらないアカマツ二次林ですが、クヌギやアベマキ、コナラなどの大きな木がたくさんあるからかもしれません。
山頂は広島市街地を一望できる景色が見れます。
また、山頂は広く平らなので、休憩場所にはもってこいの場所です。
山頂には別名「宗箇山」の由来でもある、江戸時代の上田宗箇が植えた松(宗箇松)があります。
上田宗箇とは、お茶の世界の人であり宗箇流という言葉を聞いたことがある人も多いのでは。
広島藩浅野家の初代藩主浅野長晟にしたがって広島に入国した武将茶人です。
いわゆる茶道上田宗箇流の創始者で、縮景園(浅野家泉邸)の作庭家。
広島城内の上屋敷の「和風堂」という茶屋からの借景として三滝山を選び、頂上に赤松を植えた事から「宗箇山」と呼ばれるようになりました。
広島城からの借景に選ぶぐらいですから、ここからの眺めも抜群というわけです。
ちなみに今の松は4代目だそうで、初代「宗箇松」は明治維新後に落雷を受け枯死し、二代目の松は、戦時中に敵機の目標になるとして軍により伐採され、三代目の松はマツクイムシによって枯れてしまったとのこと。
四代目の「宗箇松」は、マツクイムシに強い品種に改良した苗木を平成10年11月29日に植樹しています。
三瀧寺から登り2時間半もあれば一周できると思います。
山頂や三瀧寺でゆっくりしても、半日もあれば十分に楽しめることが出来るでしょう。
気軽に登山を楽しむことができる「三滝山」、ぜひ登ってみてください。
高峠山と茶臼山へ
三滝山だけでは物足りない方は、高峠山を経由して茶臼山へ歩いてみてください。
この場合は三滝山へはBコースで登るのがおすすめです。Aコースで下っていると「三瀧寺」と「高峠山」との分岐が現れますので「高峠山」方面へ下ります。
緩やかな下り坂は、なんとも言えない心地良さに包まれます。少し登り返すと高峠山です。
少し先にある岩場からの景色は一級品。広島市街地を見下ろせる展望は、なかなかのものです。
ここから、「三滝少年自然の家」へ下りることもできますが、どうせなので茶臼山まで行ってみましょう。
一旦大迫団地まで下ります。団地内を少し歩き山道へと入ります。
ここから茶臼山までのルートは分かりにくく、迷いやすいです。また、ちょっと荒れ気味です。慎重に歩きましょう。
小さなピークを何回か超えると茶臼山に着きます。
茶臼山からの眺望はまったくありませんが、かつて己斐城(平原城)があった場所。山城としての面影が随所に残っています。
ちなみに、己斐城(平原城)は己斐にある四城の一つで、他の三つは旭山神社の奥にある「岩原城(古城)」と大茶臼山にある「立岩城」、そして「柚ノ木城」です。
岩原城(古城)跡には展望台などがあり、整備された場所になっています。
茶臼山から己斐方面へ下れば小学校の横に出ますので、西広島駅までテクテク歩きましょう。