かつて恐れられた山・恐羅漢山は家族や登山初心者でも登れる山へ

皆さんご存知の広島県最高峰の山、恐羅漢山。その標高は1346.2mです。

ちなみに、2番目に高い山は吉和冠山で1338.9m。その次は十方山で1318.8mですが、三角点もなく山名もついていない旧羅漢山の1334mのほうが高いです。

さて、そんな恐羅漢山ですが、古くは人をも寄せ付けない、高峻で山深い原生林の山として恐れられていたために、その名が付けられたといわれています。

恐羅漢山に登るには、戸河内から内黒峠を徒歩で超えるか、三段峡を歩いて横川まで入らなければならない西中国山地最奥の山でした。

それが、内黒峠を通る道路や山麓の横川を通る大規模林道のおかげで、難なく車で近くまでアプローチができるようになり、登山口から1時間もあれば頂に立つことができてしまい、深山幽谷のイメージはもはやありません。

登山口の駐車場から山頂までの標高差はたったの390m程度しかなく、広島市の武田山のほうが標高差があります。大昔の山行記録には、すぐ麓にある古屋敷の集落からでさえ3時間半もかかったとの記録があるくらい奥深い山でした。

そんな風に恐れられていた山は、今では初心者や子どもでも登ることができ、家族連れに親しまれる山へと変わってしまいました。

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登山アクセス

路線バスでのアクセス方法はありません。車でしか行けないです。ただ、牛小屋高原の駐車場は広いので困ることはありませんが、ここにくるまでは時間が掛かります。

戸河内バイパス西口交差点から県道252号線を通って内黒峠を越えてくる道が最短ですが、道が狭小でくねくね道なため、そこそこ時間が掛かります。対向してくる車にはめったに出会いませんが、運転にかなりの注意が必要になります。

運転が楽な道もありますが、かなり遠回りとなります。国道191号線を北上して、深入山を越えた交差点から大規模林道に入り大型バスも通れる広い道を通ってくるルートです。

登山ルート

さて、そんな恐羅漢山の一般的な登山ルートは、牛小屋高原を起終点としてぐるっと周回するコース。右回りでもいいですし、左回りでもいいです。

下の図は左回り。夏焼きのキビレ早手のキビレを経由して頂に立ちます。比較的登山道は緩やかな勾配で登りやすいです。下山は、立山コースというスキー場の中を歩いて下ります。勾配は走り出したくなるくらい急です。

右回りの場合だと、超急登の立山コースを登り、緩やかな勾配の道を下ることになります。超急登を上りで使うか下りで使うかは、お好きなほうで(一般的にいわれているのは下りで事故しやすいので下りは緩やかな勾配の道)。

恐羅漢山登山ルート図
地理院地図(ベースマップ)を元に当運営者が加工したもの

さて、左周りルートの紹介です。

登り始めは、左手にスキー場のゲレンデを見ながら登っていきます。

ちなみに、写真は4月下旬のG.Wの写真です。

恐羅漢登山道スキー場横

途中、ちいさな沢を何本か渡ります。

恐羅漢山登山道小さな沢渡る

地形図で見たとおり、ゆるやかな勾配の道を上っていきます。

子どもでも楽に登れます(小2の頃の息子は少々だるそうですが...)。

なだらかな恐羅漢山登山道

道幅は広く、とても歩きやすいです。

ちなみに、この道は森林セラピーロードとして認定されているそうです。

登山者でなくても安心して歩ける道にしているのだと思います。

途中、大きなウッドデッキがあります。これも森林セラピーのために整備したもの。

たまには、寝転がってゆったり空を見上げるのもありかもしれません(寝過ぎに注意)。

恐羅漢登山道

約25分で夏焼きのキビレに着きます。それを過ぎると、三角点のある1132mまで少し急な勾配を上ります。

しかし、それも束の間、気持ちのいいゆるやかな道へと変わり、そして少し下り始めます。

なだらかな恐羅漢山登山道

登り返しがあり、歩くこと15分ほどで早手のキビレに着きますが、そこからもしばらくはゆるやかな登りが続きます。

段々と大きな木が目立つようになってくると、若干勾配もきつくなります。

恐羅漢山登山道にある大きな木

早手のキビレから約35分。比較的ゆるやかな登山道を上り、山頂へ到着です。

広島県最高峰からの眺めです。どこを見ても、山、山、山の景色。

山頂は広いので、休憩には最適の場所。多くのハイカーたちが休憩しています。

恐羅漢山頂

下山は、立山コースへ。

下り初め、スキー場に出るまでに若干危ない箇所があるので注意して下りましょう。30分もあれば駐車場まで下山してしまいます。

基本的にスキー場内を下ります。写真は、スキー場最上端付近。

子どもたちは、下山になると元気です。

上りは体力使い果たしたみたいな感じになりますが、どこにそんな体力あったん?くらいのスピードで下りていきます。

恐羅漢山下山路

スキー場に入ると超急こう配なので、もう止まりません。走ったらダメと言っても走り出してしまいます。

たぶん、転がると止まりません(子どもは止まりました。軽いからかな)。

スキー場を下りる恐羅漢下山路

スキー場からの眺めもいいもんです。

子どもたちには、いつかまた思い出してほしいなって思います。

こうして、山なみを眺めていたことを。

親に連れられて山に登っていたことを。

大人になって苦しいことがあったら、また山に登ってくれたらなと思います。

便利さや効率性を最優先しないといけない社会。いったい子どもたちが私たちの年頃になったときにどのような社会が待っているのでしょうか。

そんな息子は、今では17歳になりました。

スキー場を下りる恐羅漢山下山路

かつて恐れられていた恐羅漢は、今では初心者や子ども連れでも気軽に登ることができます。

広島県最高峰の山、いまでは多くの人を迎えいれてくれる、そんな山です。

また、このルートだけでは物足りない場合は、砥石郷山や旧羅漢山、台所原を加えてもいいです。

おすすめは台所原。山の奥深くまで来た感があり、どこかで熊に出会えそうな感じさえする静かな場所です。

恐羅漢山サブルート図
地理院地図(ベースマップ)を元に当運営者が加工したもの
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恐羅漢山周辺の地質

恐羅漢山周辺の地質は、中生代後期白亜紀における火山活動により、デイサイト・流紋岩質の大規模火砕流が噴出し形成されたものです。

約8千万年前前後に起きた非常に大規模な火山活動によるものです。

デイサイト・流紋岩は火成岩ー火山岩で、マグマが地上もしくは比較的浅い地下で固まった岩石です。

恐羅漢山周辺の地質図
1/50,000地質図GISデータ(産総研地質調査総合センター)

※注意事項
登山ルート等の内容については、誤解や虚偽のないものであるよう努めていますが、経年変化や、災害による一時的な変化によって、記載された状況が変わっていたり、解釈に見解の相違が生じることがあります。山行の際には、ご自身でも最新の情報を収集してください。

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