もしも山でイノシシに出会ったら

日本に生息するイノシシは、北海道を除く本州・四国・九州に広く分布するニホンイノシシと、奄美大島から南のエリアや沖縄に分布するリュウキュウイノシシの2亜種に分類されます。

北海道にはイノシシが生息していないというのが定説ですが、豚とイノシシの交配によって生まれたイノブタという雑種が野生化し問題になっているそうです。

夜行性といわれていますが、里山を歩いているとよく出くわします。それも日中に。

まさに出合い頭の遭遇なのですが、こちらに向かって走ってくることはありませんでした。すべてが反対方向へ走って逃げてくれたので、いつもホッとさせてくれます。

臆病でおとなしい性格といわれているのが原因かどうかはわかりません。攻撃されてケガをする人もいるので、ただ単に運が良かっただけなのでしょう。危険を感じると下あごから突き出た長い牙で襲いかかってくるといわれていますので。

山でイノシシに出会っても、ツキノワグマと同じで、遠くにその存在に気付けば対処できますが、やはり出会い頭の遭遇はかなりビビります。慌てずゆっくりと後ずさりなんてできるわけがありません。向こうから逃げてくれることを願うしかないのが実情ではないかなと。

森から出て、豊かな暮らしのために森を破壊しまくっている我々人間が、イノシシの住処である山の中へズカズカと踏み入っているわけですから、やはり謙虚な気持ちで接したいものです。

イノシシの親子
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ニホンイノシシはでかい

ニホンイノシシは体長1.0m~1.7mくらいの大きさで、体重は大きいもので約190kgにもなる大型の哺乳類です(リュウキュウイノシシはそれより少し小さい)。

成長が早く、1年半で性成熟に達します。幼少期には縞模様があってウリ坊と呼ばれ、とってもかわいい(どの動物も赤ちゃん時はかわいい)のですが、あの縞模様も4ヶ月程度で消えます。幼少期は天敵が多いため、背景と見分けがつきにくくするために縞模様の体毛(保護色)となっています。

ウリ坊

雪に弱く、東北や北陸地方などの積雪地帯には生息していないとされていますが、降雪量の減少とともに生息地を北上させています。2018年までの40年間で分布域は約1.9倍に拡大しています。

寿命は短い?

野生下での寿命は長くて10年といわれていますが、これは条件が良ければの話。

生後3年間の自然死亡率が高く、平均寿命は2~3年程度です。また、狩猟が盛んに行われている地域では、平均寿命が2年を下回るそうです。

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なぜ夜行性なのに日中も行動している?

一般的には夜行性動物といわれていますが、本来は昼に行動する動物です。夜に行動するのは、人間が活動している時間帯を避けるため。臆病で警戒心が強く、相当神経質な性格のためなのでしょう。

そのため、基本的には人間を避けますが、不用意に近づくと攻撃してくることもあり、発情期や分娩の後は特に攻撃的になるといわれています。

天敵はいるの?

トラやライオンがいれば彼らが天敵になるのでしょうが日本には生息していないため、最大の天敵は人間なのでしょう。あとは、カラスやキツネ、大型の猛禽類が幼少期のイノシシを捕獲する程度です。

何食べる?

雑食性で何でも食べます。ドングリやタケノコ、キノコ、柔らかい植物の根や地下茎などを好んで食べます。山の中に入るとイノシシが掘り起こしたあとが無数にあるのはこのためです。

冬眠する?

イノシシは雪に弱い動物ですが、冬眠しません。降雪期は雪の少ない地域にいます。

猪突猛進は間違い

あんなに短い脚(失礼?)なのに優れた運動能力を持っています。人の短距離走世界記録保持者で時速36km程度ですが、イノシシは時速45kmの速さで走ります。逃げても無駄です。

また、直進しかできないというイメージは誤りで、急停止や急発進、急な方向転換もできます。

跳躍力も高く、成獣が1.2mを助走なしに飛び越えることも可能です。

沼田場(ヌタバ)

山の中を歩いていると、水の通り道を知っているかのように掘られた大きな水たまりがあります。

イノシシやシカが、体に付いたダニなどの寄生虫を落としたり、体温を調整したりするための泥浴場です。

イノシシのぬた場

イノシシが転がりながら泥を体に塗る様子から、苦しみあがくという意味の「ぬたうちまわる(のたうちまわる)」という言葉が生まれています。

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