山での落雷への備え|事故発生件数は少ないもののその怖さはピカイチ!

山岳事故としての発生件数は少ないですが、過去には大量事故も起きています。

ことに夏山では雷雲が発生しやすく、北アルプスなどの標高の高い山では、夏の午後になると毎日のように雷が発生しています。

山には雷が落ちやすい場所がたくさんあるので、ひとたび雷雲が発生すれば、山ではつねに落雷の危険にさらされているといっても過言ではありません。

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落雷は人へ流れやすい

高いものに落ちる性質がある雷にとって、山頂や尾根は絶好のターゲットです。

おまけに人間の体はもともと雷を引きつけやすい性質を持っているので、雷のときに山頂や尾根上にいるのは自殺行為に等しいです。

ご存知だとは思いますが、高い木の下にいるのも危ないです。

木に落ちた雷は、幹を伝って地中に流れ込んでいきますが、木のそばに人がいると、木に落ちた雷の電流が幹や枝から人体に飛び移ります。

これを側撃といって、木よりも人体のほうが電流が流れやすいために起きます。

人間の心理として、雷雨のときは木の下に避難したくなりますが、命が惜しいなら木から離れることが重要です。

樹林帯の中も、どこから側撃を受けるかわからないので、ただちに逃げ出したほうがいいです。

また、岩場も雷が落ちやすい場所のひとつです。

そして、雷が岩場に落ちると電流が地中に入らずに岩の表面伝いに電流が流れます。

そのほか、草原や湿原など周囲に何もない平坦地では、人間の体が標的になりやすいです。

もっとも、山頂や岩場、尾根にいるよりは樹林帯の中、樹林帯の中よりは草原や湿原のほうがまだいいとされていますが、それは気休めにもなりません。

屋外で比較的安全なのは、谷筋やくぼ地、山の中腹などです。

高山帯では、尾根上にいるよりは斜面のハイマツの中に潜り込んだほうがまだマシといわれています。

これらの場所では、なるべく姿勢を低くしたままじっと雷をやり過ごすことです。

姿勢は低ければ低いほどいいですが、けっして万全とはいえないの実情です。

テントにも雷は落ちやすいです。

木の下にテントを張っているときには、側撃を受けることもあります。

木に落ちる雷

落雷への対策

とにかく山での雷に関しては、外にいる限りどこも安全とはいえません。

木の下の保護範囲(下図参照)が比較的安全といわれていますが、屋外でこの条件を満たす場所を探し出すことはきわめて難しいと思います。

そもそも、山の中にはたくさんの木がありますから。

唯一安全といえるのが山小屋です。

山で雷に遭遇したときには一刻も早く最寄りの山小屋に避難すべきです。

また、車が近くにあれば車の中も安全です。

そして、朝早くから行動を開始し、午後の早いうちに目的地に到着するような計画とすることも大切です。

山小屋も車も近くにないときは、気休めにしかなりませんが、谷筋やくぼ地、山の中腹などに逃げ込んで、できるだけ姿勢を低くして雷が去るのをじっと待つしかありません。

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遠くの落雷の音

ときに雷は10km以上の距離を一瞬にして走るといわれています。

遠くでかすかに「ゴロゴロ」と雷鳴が聞こえたら、そのときはもう雷の射程距離に入っていると認識すべきです。

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