奥深く険しい祖母山に登る

祖母山(1756.4m)は、宮崎県の高千穂町と大分県の竹田市、豊後大野市の境にある山で日本百名山の一つです。アクセスが厳しいためか奥深い山で険しい山という印象があります。

祖母山山頂からの景色
祖母山山頂から

祖母山という名前から女性的な山容をイメージしますが、実際は男性的な山容をしています。
なぜ「祖母」という名が付けられているのか。様々な説があるのでしょうが、神武天皇の祖母にあたる豊玉姫が祀られたとの伝説があります。
大正末期に宮崎で出された「祖母登山案内」によると、神武天皇が東征した際、海上でシケに遭い転覆しそうになったとき、天皇の祖母の神霊がいる祖母山に向いて祈念したところシケが収まって難を逃れたといいます。

そんな祖母山ですが、綺麗な三角峰でひときわ目立つため、かつては九州一高い山であると思われていました。
そのせいか、あの近代登山の父であり日本アルプスの父でもあるウォルター・ウェストンも明治23年に五ヶ所登山口から登っています。
五ヶ所高原の三秀台に彼のレリーフを付けた記念碑がありますので、時間があれば立ち寄ってみてください。三秀台というだけあって、祖母、九重、阿蘇の三山が望めます。

祖母山山頂から五ヶ所方面
山頂から五ヶ所方面

また、海抜高度による森林植生の垂直分布が明瞭で学術的価値が高い山とされています。
600~700mあたりまではカシ、シイなどを主とした照葉樹林が広がっていますが、高度を上げるにつれ次第にツガ林へと変わっていきます。
1000m付近でツガ林がピークとなりますが、常緑広葉樹がなくなりブナ林が現れ始めます。
1200m付近はブナ林の構成種であるミズナラ、リョウブが占有し、1400mを超えると典型的なブナ林となります。
落葉後に訪れてみると常緑樹林と落葉樹林の境が山腹に現れているのを見ることができます。

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登山口とアクセス

祖母山の登山口としては、尾平、神原(こうばる)、北谷[五ヶ所]があります。
最も利用されている?のが神原登山口から登るルート。一合目の滝の上に駐車場があります。
そして、最も楽に登れるのが北谷登山口から登るルートで古くから親しまれている道。
あのウェストンも五ヶ所から歩いた道で3つの中では一番広い?駐車場があります。
尾平登山口からのルートは、祖母山の自然を満喫できるルート。岩峰、渓谷、原生林が満喫でき有料の駐車場があります。

祖母山登山ルート図

どの登山口もマイカーでないとアクセスは難しいです。
ただ、どの登山口も広い駐車場があるわけではないので早い者勝ちです。G.Wに北谷登山口から登ろうとしましたが、道路脇にずら~っと駐車していて、結局かなり林道を下った道路脇に駐車しました。
また、どのアクセス道も狭いです。

バスでのアクセスは考えない方がいいかもしれません。五ヶ所登山口までは高千穂町のコミュニティバスが来ていますが便数が少なく、そこから北谷登山口まで2時間半程度歩かないといけないので現実的ではありません。
尾平登山口へは豊後大野市のコミュニティバス長谷川線がありますが、こちらも便数が少ないです。

神原登山口へはバスが来ていませんが、JRの駅から最も近いのでタクシー利用すれば行けなくもないです。

登山ルート

神原の駐車場から山頂までのコースタイムは3時間40分。周回ルートはないのでピストンになります。下りは2時間55分。

北谷登山口からは、千間平を通り山頂まで2時間50分。風穴を通るルートもありますが、なかなか厳しいルートなので利用するなら復路で利用しましょう。
風穴を通るルートで下山して2時間20分です。険しい山の印象でしたが、この北谷登山口からは最も楽なルート。家族で登りました。

風穴ルートの渓谷
風穴を通り下山

尾平登山口から黒金山尾根ルートはなかなか厳しいルート。山頂まで5時間、下りでも3時間50分掛かります。
このルートより比較的歩きやすい宮原ルートもありますが、山頂まで4時間10分、下りで3時間20分とこちらも結構掛かり、日帰りだとハードな山行になりそうです。
9合目になかなかいい感じの避難小屋があるので利用すればいい山旅になりそうです。

春はアケボノツツジが尾根の岩場に咲きます。まさに天上の花。美しかったです。

祖母山のアケボノツツジ

※注意事項
登山ルート等の内容については誤解や虚偽のないものであるよう努めていますが、経年変化や災害による一時的な変化によって、記載された状況が変わっていたり、解釈に見解の相違が生じたりすることがあります。山行の際には、ご自身でも最新の情報を収集してください。

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