登山事故・山岳事故が減らない現実|山は危険という認識が足りてない?

近年の国内における山岳遭難事故の要因を見てみると、道迷い、転落・滑落、転倒、病気、疲労が上位を占めています。

これらの事故って、不可抗力による事故はほとんどないです。

昔も今も、山で起こる事故のほとんどは当事者の不注意、油断、過信、認識不足などによって引き起こされているといわれています。

たとえば、毎年、事故要因のトップを独走する道迷いは、現在地を確認しながら行動していれば起こるはずがない事故です。

転落・滑落や転倒も、岩場や岩稜や急斜面でふっと気を緩めたり、ちょっとした注意を怠ったりすることで起きてしまいます。

病気については、日常生活の不摂生や自己の健康管理能力の欠損がその根底にあると考えられています。

また、疲労についても、自分の体力の過信が引き金となります。

でも、私たちは人間です。

こんなにすべての事柄について、完璧にできてる人がいるのでしょうか。

「それができ、それをさせるのがプロの登山ガイドだ」、といわれるのであれば、私はプロの登山ガイドにはなれそうにありません。

私はロボットではありません。人間です。

いい景色に出会えたときには気が緩みます。山頂についたときには気が緩みます。山降りたら美味しいもの食べたいと気が散っていることがよくあります。

日常生活の不摂生や自己の健康管理能力の欠損が根底にあるから、健康のために山登りをしてみようと思う人も多いはずです。

すべての時間で集中することは不可能です。そして、すべての時間で緊張を強いることは不可能です。

危険箇所を歩く登山者
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多くの人に迷惑を掛けるという認識

ただ、山の中での事故は生死に関わることにつながり、多くの人に迷惑を掛けてしまうということについては認識を持つ必要があります。

たとえば、街中で道を歩いているときに転んだとしても、たいていはかすり傷程度で済みます。

ところが、山の中での転倒は、その場所によっては重傷や命を落とすこともあります。

また、街で道に迷っても、近くにいる人に尋ねればだれかしらが道を教えてくれます。

突如、激しい雷雨にみまわれたとしても、非難する場所は近くにたくさんあります。ちょっとしたケガでも近くの病院に駆け込めます。

これが山の中だとそうはいきません。街の中では大したことがないことが、山の中では生死にかかわることになってしまいます。

しかも、そんな事態が山の中で発生してしまうと、その事態から抜け出すことことがまた容易ではありません。

救急車がすぐ近くに来れるわけもないので、時には救助隊やヘリコプターを要請しなければいけなくなり、多くの人に迷惑を掛けてしまいます。

これが、山の怖いところです。

だから、何より事故に遭わないようにすることが大切です。

時には気が抜けることもあります。すべての時間で集中することは無理です。

でも、自分の現在地を確認しながら行動することはできるはずです。

そして、危険地帯を通過するときは全集中できるはずです。

そんな少しの心掛けで山の事故は防げると思っています。

アルパインクライミング

態様別山岳遭難者数

 平成28年平成29年平成30年令和元年令和2年
道迷い1,116人
(38.1%)
1,252人
(40.2%)
1,187人
(37.9%)
1,142人
(38.9%)
1,186人
(44.0%)
滑落498524544485423
転倒471469468492371
病気229232276205188
疲労204175237219170
転落1081001008893
悪天候1818391527
野生動物襲撃4263186239
落石161311108
雪崩865598
その他148116149138105
不明7184957279
合計2,929人3,111人3,129人2,937人2,697人
警察庁 令和2年における山岳遭難の概況から

2年連続で遭難者数は減少しています。

しかしながら依然として高い水準です。

私が登山を始めたころの遭難者数は961人(平成9年)でした。

今では、約3倍の遭難者、、、

登山者が増えたような気はしません。

また、道迷いも依然として高い水準です。

スマホのGPSアプリの普及により、道迷い遭難が減るかと思いましたけど減っていないのが現実みたいです。

気軽に山に入る人が増えたからなのかよくわかりませんが、十分に気をつけて安全登山を心掛けたいものです。

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