九重連山の主峰久住山へ登る

大分県竹田市にある久住山(1786.5m)、九重連山の中で人気が高く、いつも多くの登山者で賑わっている山です。百名山という理由もありますが、山頂からの眺望が素晴らしく、また登りやすいのも一因でしょう。

久住山
多くの登山者で賑わう久住山山頂

代表的な登山口である牧ノ戸峠の標高は1330mもあり、山頂との標高差はたったの457mしかありません。
観光客でも登れてしまう広島県の宮島弥山登山の標高差が535mであることを考えると、体力的に無理なく登れる山であることが分かります。
ただ、そもそもの標高が違うので天候によっては厳しい山になるのでしょうが…。

久住山山頂から三俣山星生山
山頂から星生山と三俣山

しかし、私が住む広島県の最高峰は1346m。牧ノ戸峠はすでに1330mもあるとは、やはり広島県の山はしょぼいと感じる今日この頃です。

ちなみに、「九重」と「久住」の二つの表記がありますが、登山界では九重山が山群の総称で、久住山を主峰の名としています。町の名前は九重町と書いて「ここのえ」と読んだりして混同しやすいです。

さて、そんな久住山ですが、どちらかというと丸い山容をしている九重連山のなかにあって、尖った頭の形をしています。西面はかなりの絶壁で岩の上に立つと足がすくむほど。一方、北から東面はなだらかで、その尾根は九州本土最高峰の中岳へと繋がっています。

久住山山頂から久住高原
山頂から西南方向
星生山中腹から久住山と避難小屋
右にある久住山は尖った頭。手前下に避難小屋とトイレ

古くは神体山として崇められ、信仰登山も盛んだったそうで、南麓には久住山信仰の中心として栄えた寺もあったとのこと。
その寺は猪鹿狼寺と呼ばれ、最初は何と読むのか分かりませんでしたが、「いからじ」と読むそうです。イノシシとシカとオオカミの寺とは何とも興味が湧いてくる名ですが、どうも源頼朝が関係しているみたいです。

鎌倉時代の話ですが、源頼朝が久住山の山麓で巻狩(鹿や猪が生息する狩場を多人数で四方から取り囲み、囲いを縮めながら獲物を追いつめて射止める大規模な狩猟)をしたため、このとき獲物となった猪や鹿の御霊を鎮めるために寺の名を改めたと伝えられています。
獲物のなかには「狼」はなかったので、「狼」の字は猟犬として狩りに借り出された狼犬をねぎらったものと考えられています。

その猪鹿狼寺は戦国時代に争いに巻き込まれ焼失し、現在では登山道わきに小さな祠が残っているのみです。

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登山口とアクセス

おもな登山口としては、赤川登山口や南登山口、沢水展望台、瀬の本登山口、大曲などがありますが、表玄関口は長者原と牧ノ戸峠です。広い駐車場が設けられ、売店やトイレもあります。

なお、沢水展望台からのルートは九州北部豪雨によって崩壊や落石の恐れがあるため、登らないほうが無難といえます。

各登山口からのコースタイムと標高差
  • 赤川登山口から2時間35分 727m
  •  ※扇ヶ鼻ルートで3時間35分
  •  ※南登山道ルートで3時間20分程度
  • 南登山口から3時間50分 1007m
  • 瀬の本登山口から3時間15分 827m
  • 長者原からすがもり越で3時間 757m
  • 大曲から2時間50分 557m
  • 牧ノ戸峠から2時間40分 457m

各登山口には無料の駐車場があるので、やはりマイカーでの利用が便利です。
ただ、牧ノ戸峠や長者原の駐車場は時期によっては大混雑しています。
また、大曲の駐車場は10台程度、瀬の本登山口から300mほど下った場所の駐車場は20台程度しかとめられないので早い者勝ちです。
赤川登山口は40台程度でトイレがあります。

バスで行く場合は、長者原か牧ノ戸峠、瀬の本から登るしかなさそうです。
九重町のコミュニティバスで豊後中村駅から長者原、牧ノ戸峠へ。
亀の井バスの牧ノ戸峠線(土日のみ)で由布院駅前バスセンターから長者原、牧ノ戸峠へ。
産交バスの九州横断バス(予約必要)で熊本駅や阿蘇駅、別府駅から長者原、牧ノ戸峠、瀬の本へアクセスできます。

登山ルート

久住山登山ルート図
地理院地図(ベースマップ)を元に作製したもの

最もメインとなるルートは牧ノ戸峠からのルートで、多くの登山者であふれかえっています。長者原や大曲からすがもり越ルートもメジャーで多くの登山者がいます。いわゆる表の玄関口からのルートです。
一方、南側にある登山口から登るルートは意外と登山者が少なく静かな山行ができます。

南登山口からのルートは、意外と急登も少ないので登りやすいです。
この南登山ルートは、かつて信仰登山が盛んだったころには多くの修行僧らが行き交った道で、ルート上には先に述べた猪鹿狼寺跡があります。先人たちに思いを馳せながら登ってみるのも一つの登山の形です。
登山口には久住山荘南登山口キャンプ場もあるのでテント泊もできますし、赤川登山口の駐車場から利用すれば時間と距離の短縮になります。

最短距離で登れるのは赤川登山口からです。また、最短時間でも登れます。
さらに、扇ヶ鼻ルートも選べるので周回することが可能です。岩場の急斜面や渡渉箇所などありますが、扇ヶ鼻、星生山(ほっしょうさん)を組み込むことが可能で、時間によっては中岳なども巡ることができます。

ただ、やはり牧ノ戸峠からのルートがおすすめです。標高差がないため体力的にも無理なく頂に立てます。沓掛山(くつかけやま)を超え、広い草原の西千里浜、トイレのある避難小屋を通って山頂に行きます。
道標もあり、多くの登山者がいるので迷うことはないでしょう。

沓掛山
沓掛山から。久住山の頭の先がわずかに見える
西千里ヶ浜と星生山
西千里ヶ浜と星生山

時間に余裕があり物足りない場合は中岳や稲星山(いなぼしやま)、白口岳(しらくちだけ)、星生山も組み入れることができ、また長者原へ降りるのであれば、三俣山(みまたやま)へ登ることもできます。
長者原からバスを利用すれば牧ノ戸峠へ帰れます。

星生山と三俣山と天狗ヶ城
左から星生山、三俣山、天狗ヶ城

※注意事項
登山ルート等の内容については誤解や虚偽のないものであるよう努めていますが、経年変化や災害による一時的な変化によって、記載された状況が変わっていたり、解釈に見解の相違が生じていたりすることがあります。山行の際には、ご自身でも最新の情報を収集してください。

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