登山装備・持ち物に必要な物は何か|安全・快適性・非常時の3つで考える

一般的にいわれている登山の基本装備や持ち物。

これは必ず持っていくべきものを含んだ、ごくごくベーシックなものです。

その前提となる考えは、「安全に登山するため」です。

なので、基本装備ではなく「安全装備・持ち物」と言うべきものでしょう。

しかし、そうしたリストの中には、必ずしも自分の登山スタイルに必要ないものもあるかもしれません。

経験を積み重ね、自分なりに安全に登山するための装備リストを作り上げていくことが大切です。

そのリストは、テント泊なのか小屋泊なのかの宿泊スタイルでも変わります。

また、季節や標高によっても変わってきます。

よって、そのリストはどの登山スタイルにも必ず必要となる「安全装備・持ち物」に、登山を自分好みに快適にする「快適装備・持ち物」と万一のときに備える「非常用持ち物」を加え、さらに特別な用意が必要となるものを積み上げていくことが必要になります。

たとえば、ある人の山行パターンは、

①日帰りハイク・雪山以外(よく行く山でいつも歩く道)

②日帰りハイク・雪山以外(①以外)

③低山・日帰りハイク・雪山

④小屋泊縦走ハイク・夏山

⑤テント泊縦走ハイク・夏山

の5パターンの場合。

どの登山スタイルにも必ず必要となる最小の装備は、①のパターンです。

登山スタイルに応じて、この①の「安全装備」に「快適装備」「非常用持ち物」を加え、さらに雪山、小屋泊、テント泊時には、特別に必要となる装備・持ち物を積み上げていくことになります。

特に荷物の多くなる④と⑤については、一度、エクセルなんかで自分のリスト表を作ることをおススメします。

こんな感じです。

安全装備
 登山靴ローカットハイカット
(ハード)
ハイカット
(ハード)
 ベースレイヤー吸汗速乾性メリノウールメリノウール
 ファーストエイド絆創膏・ワセリン
ガーゼ・テープ

+別紙1

+別紙2
 …
快適装備
 サングラス
 …
非常用持ち物
 リペアキット別紙1別紙2
 …
テント泊用
 食料別紙1別紙2
 着替え別紙1別紙2
 テントプロモンテVL-1
 ペグ10本
 …

登山を積み重ねることでそのリストを適宜見直し、自分なりのリストを作り上げることが必要です。

また、宿泊型のものについては、着替えの種類と枚数、食料の量なんかもデータ化しておくことをおススメします。

ファーストエイドキットやリペアキットの中身を何にするかも自分なりのリストを作り上げることが大切です。

特に、年に数回しか行かないような山行だと、データ化されたリスト表があれば助かるので。

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安全装備と持ち物

どの登山スタイルにも必ず必要となる「安全装備・持ち物」です。

これを用意すれば、どんな登山スタイルでも自分にとって「安全に登山ができる」というものです。

人それぞれで安全装備は変わってきますので、自分なりのリストを作り上げてください。

たとえばトレッキングポールですが、膝の悪い人には「安全に登山するため」には必ず必要となるものでしょう。

しかし、私にとっては快適とするための道具であるため、安全装備には入れてません。

また、ヘッドランプも必ず必要な装備として安全装備に入れる人がほとんどでしょう。

でも私の場合は①で2~3時間程度の山なら持っていかないので、非常用持ち物としています(怒られそうですが)。

傷よけのグローブや帽子なども、別にすり傷程度なら構わないという人であればいらないでしょうし、半袖短パンになるでしょう。

以下は、私が考え作り上げた「安全装備・持ち物」です。参考程度にしてください。

登山靴

タイプは登山のスタイルに合わせて選びます。

①でもローカットの安い登山靴で行きます。いわゆる運動靴では行きません。

時と場合によっては、運動靴やトレラン靴でも登山は出来ないことはなく、長靴や足袋で山に登る人がいることを考えると、登山靴は快適装備なのかもしれません。

ただ、普通に考えると、ケガを防ぐなど安全に登山するためには、一般的にいう「登山靴」は必須であると考えられます。

靴下・下着

どちらも履かない人はいないので装備に入れるべきか迷います。

ちなみに私は、登山用の下着ではなく普段履く化繊のもので行きますし、靴下も登山用でなくちょっと厚い靴下で行くことがあります。なので、こちらは快適装備となるのかもしれません。

ベースレイヤー(インナーウェア)

ベースレイヤーは、汗冷えを防ぐことを目的としています。

私の場合は、時期や場所により、速乾性に優れたものと徐々にゆっくり乾くものを使い分けています。

大量の汗をかくときは、ゆっくりと乾くものを着ていると追いつかないので速乾性に優れたものを着ています。

それ以外については、速乾性に優れたものを着ていると、早く乾くことでその気化熱により暖かさをも奪ってしまい、逆に汗冷えすることから、徐々にゆっくりと乾くメリノウールがベストであると考えています。

ウールの吸湿力は綿の2倍、ポリエステルの約40倍といわれています。

しかも、繊維の一番外の層は水をはじく性質を持ち、繊維の内側の層が吸湿性に優れた構造を持つ「水をはじくが水を吸う」性質を持っています。

なので、ゆっくり乾いても肌が濡れた繊維と直接触れ合わないことから、汗冷えを防いでくれます。

一般的に綿製品は、吸水性も良く肌触りもいいです。しかし、速乾性がなくゆっくりと乾きます。

ここまではウールと同じですが、濡れた繊維と肌が直接触れ合うことから、風が長時間当たると汗冷えしてしまいます。

また、ポリエステルの繊維自体は水分を吸いません。繊維自体は疎水性です。

本来的には疎水性であるポリエステルの弱点を補完するためには、様々な工夫を施しています。

繊維の断面を異型にしたり、糸の組み合わせを工夫したり、生地面を表側と裏側(肌側)で異なる組織構造にしたりすることで、水の移動を促進させて、水分を表側に薄く広げることで表面積を増やして乾きやすくしています。

糸や生地の隙間に一時的に水分を溜め込むにとどめ、繊維内部までは水分が浸透していない為、綿を中心とした天然素材には出せない速乾性を発揮させているのです。

しかし世の中には、後加工として親水性に優れた加工剤を塗布することのみで吸水速乾性をもたせようとする商品が大半を占めています。

こうした後加工のみによる吸水速乾性は、繰り返しの洗濯によってだんだんと効力が落ちていきます。

もっと酷いものでは、ポリエステルを使用しているだけで吸水速乾(実際には水は全然吸わない)を標榜する商品もあるので注意が必要です。

高機能繊維として使われているポリエステルと、汎用のポリエステルは異なるということを念頭に置いておく必要があるということです。

ベースレイヤーは、レインウェアと同じでなかなか奥が深く、「ずばりこれ」みたいな答えが見つかっていません。

ただ、安全に登山するためには汗冷えを防ぐそれ相応なものが必要であると思います。

常に着ておくミドルレイヤー(2番目のベースレイヤー)

汗をスムーズに透過させる通気性や速乾性を目的としています。

ベースレイヤーは、生地表面に拡散させ空気に触れさすことで乾燥させています。

なので、ベースレイヤーの上に通気性のない服を着ると、空気に触れることがなくなるので、理論上は速乾性は失われるということになります。

よって、通気性に優れ、速乾性に優れたものが必要であるといえます。

常に着ておくのであれば、ベースレイヤーと同じく、安全に登山するためには必要なものであるといえます。

パンツ(ズボン)

タイツの上に履く短パンにしろ、長ズボンにしろ、ズボンを履かない人はいないと思うので安全装備にあげるべきかどうか悩みますが、一応ひらひらのスカートではなく、足さばきがよくて動きやすい、またベタつかず肌にまとわりつかないものをという意味であげておきます。

登山に向いているパンツの生地は、ナイロンとポリエステルがあります。

ポリエステルもナイロンも吸水性は低い素材ですが、繊維に何の加工もしない場合、吸水率はナイロンのほうが高くなります。

またナイロンは吸湿性を持つ素材でもあるので、ナイロンのほうが吸水性・吸湿性ともにポリエステルよりも高いといえます。さらにナイロンのほうがよく伸びます。

ただし、速乾性はポリエステルのほうが高いといわれているのでどちらも一長一短あります。

ただし、ベースレイヤーのところでも述べましたが、高機能繊維と汎用のものは異なるということを念頭に置いておく必要があります。

一方、綿パンやジーンズはそのもの自体が重く、さらに汗を吸うと重たくなります。さらに乾きにくいので足にへばりつき足さばきが悪くなります。また、 ストレッチ性のない素材は動きを圧迫してしまいます。

じゃあ、タイツの上に履く短パンなら綿でもOKなのでは?

という考えもあります。

なので、ズボンについてはその素材ではなく、足さばきがよくて動きやすい、またベタつかず肌にまとわりつかないものが安全に登山できるものと言えます。

グローブ

防寒だけでなく、日よけや傷よけにもなるのでどんな登山スタイルでも必要。安い軍手でもいいです。

帽子

帽子も日よけや傷よけにもなるので必須のアイテムです。

タオル・手ぬぐい

汗かきの私には必需品です。またケガしたときに何かと使います。真冬の登山でも一枚は持っていきます。

腕時計・スマホ

山で時間が分からないと致命的になります。ただし、①のよく行く山のときはスマホで代用することもあります。

また、緊急時の連絡用として、さらにGPSの代用としてスマホを持っておくと安心感はあります。

ザック(リュック)

どんなに小さくても何かを入れておくザック(リュック)は絶対必須です。持ち物を手に持って登山するわけにはいきません。ただ、①のよく行く山のときは小さな登山用ではないザック(リュック?)で行くことがあります。

飲料水

飲料水は必須です。季節と歩行時間によって持っていく量を決めています。計算式で求めることもしますが、経験則で決めることが多いです。

ファーストエイド

絆創膏とガーゼ、テープとワセリンのキットを①のよく行く山で持っていきます。

ちなみに、消毒液の使用は最近では推奨されていないので、ファーストエイドから外しました。

地図・コンパス

どんなに近所の小さな山でも地図がないと不安です。ただし、①のよく行く山のときは、紙ではなくスマホのアプリで代用しています。

トイレセット

低山では、まず登山道にトイレはない。小型のスコップと使用済みの紙を入れるものを最低でも持ち歩きたい。

快適装備と持ち物

登山を自分好みにするための装備や持ち物です。

たとえば、山頂では美味しいコーヒーを飲みたいとか、ご飯は弁当ではなく何か作りたいとかです。

以下に、一例をのせておきます。

  • 着脱するミドルレイヤー
  • ミドルレイヤー(保温着)
  • アウターレイヤー(レインウェアでほぼ代用)
  • サングラス
  • ゲイター
  • サポートタイツ、サポーター
  • トレッキングポール
  • 着替え
  • 食料、行動食
  • ストーブ&クッカー
  • サブザック
  • ネックゲイター
  • ハイドレーションパック
  • 密閉式ゴミ袋
  • 日焼け止め
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非常用持ち物

登山は、いつも計画どおりに順調にいくとは限りません。

天候の急変、ケガや病気、登山用具の破損や故障などなにかしらのトラブルやアクシデントに見舞われることがあります。

こうしたトラブルやアクシデントに対処するための装備を遂行することは重要ですが、すべてを完璧に対処しようとしたら、かなりの荷物になります。

そこで、緊急時に備えるための持ち物は、下山するまで、あるいは救助されるまでの間の応急処置的に使用するものと割り切り、必要最小限のアイテムだけを持つようにしたいです。

最終的に、何を持っていくかは自分の判断となります。また、持っていても使い方を知らないと意味がありません。

必要か必要ではないか、自分なりの答えを導き出してください。一例をのせておきます。

  • レインウェア
  • ヘルメット
  • ザックカバー
  • GPS
  • ヘッドランプ
    [ザックに入れる確率はかなり高い、予備電池も忘れずに]
  • ツエルト
  • リペアキット
    [細引き・結束バンド・針金・テープなど]
  • レスキューシート
  • マッチ、ライター
    [マッチは防水性のものを、ライターは気圧に関係なく着火できる摩擦で着火させるタイプを]
  • スマホ用充電器
  • ロープ、スリング、カラビナ
  • 非常食

最後に

アウトドア用具については、高価です。買うのではなく必要な時にレンタルするという手法もあります。
こちら を覗いてみてください。

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